外国人技能実習制度 人材確保と育成を目的とする新制度へ

外国人技能実習制度について、政府の有識者会議は、人権侵害の指摘もある今の制度を廃止し、人材の確保と育成を目的とする新たな制度を創設するとした最終報告書を24日まとめました。

今後、外国人側と受け入れ側双方の理解を得ながら目的に沿った制度をどう構築していくかが問われることになります。

技能実習制度は外国人が最長で5年間働きながら技能を学ぶことができますが、厳しい職場環境に置かれた実習生の失踪が相次ぎ、人権侵害の指摘もあるなどとして政府の有識者会議が見直しを進めてきました。

24日まとまった最終報告書では、国際貢献という目的と実態とのかい離が指摘されてきた今の制度を廃止し、新たに外国人材の確保と育成を目的に掲げた「育成就労制度」を設けるとしています。

これまで原則できなかった別の企業などに移る「転籍」は、1年以上働いた上で、一定の技能と日本語の能力があれば、同じ分野にかぎり認めるとしています。

ただ人材流出への不安が根強い中、当分の間は分野ごとに転籍を認めない期間をより長く設定するなど、経過措置を検討することも提言しました。

しかし制限を設けることには慎重な意見もあるほか、外国人を支援する団体などからは転籍をサポートする仕組みが十分ではないといった声も出ています。

一方、新たな制度では、外国人側の負担を軽減するため母国で送り出し機関などに支払っている手数料を、受け入れる側も負担する仕組みを導入するとしていますが、企業側からはコストが増えるのではないかと懸念も示されています。

茨城県鉾田市で長年、技能実習生を受け入れてきたいちご農園の村田和寿代表は「実習生は実際には労働力となっていて、その中で育成もしてきたので、実態に近づくのはいいことだと思う。プラスで費用がかかるのは農家にとっては痛手になるが、農業が選ばれ、事業者が選ばれる環境は厳しくなっているので、受け入れる側としても改善を続けていきたい」と話していました。

今後、外国人側と受け入れ側双方の理解を得ながら、目的に沿った制度をどう構築していくかが問われることになります。