補正予算案 衆院本会議で可決 自民 公明 維新 国民など賛成

経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案は、衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決されて参議院に送られました。

一般会計の総額が13兆1992億円となる今年度の補正予算案は、24日の衆議院予算委員会で、岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して締めくくりの質疑が行われたあと、採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、それに国民民主党の賛成多数で可決されました。

これを受けて、午後に衆議院本会議が開かれ、討論で自民党は「デフレに後戻りしないよう大胆な政策を総動員することが急務だ。日本経済を一段高い成長軌道に乗せ、物価高に負けない賃上げを達成し成長と分配の好循環を実現することがわれわれの責任だ」と強調しました。

これに対し、立憲民主党は「岸田総理大臣は突如として所得税などの減税を打ち出したが、始まるのは来年6月で物価高対策としては遅すぎる。新規の赤字国債の発行が必要となり、還元どころか負担を将来に付け回す大盤ぶるまいで、国民を欺くものだ」と訴えました。

そして採決が行われた結果、補正予算案は自民・公明両党と日本維新の会、それに国民民主党などの賛成多数で可決されて、参議院に送られました。

補正予算案には
▽物価高への対応として、住民税が非課税の低所得者世帯に対する7万円の給付や、ガソリン代や電気代・ガス代の負担軽減措置の延長が盛り込まれているほか、
▽持続的な賃上げの実現や
▽国内投資の促進に向けた費用などが計上されています。

補正予算案は、来週27日と28日の2日間、参議院予算委員会で岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が行われることになっていて、与党側は来週中に成立させたいとしています。

岸田首相 維新と国民民主の控え室を訪れ謝意

補正予算案が可決されたあと、岸田総理大臣は、自民・公明両党に加え、賛成した日本維新の会と国民民主党の控え室を訪れて謝意を示しました。

このうち国民民主党の玉木代表が「覚悟を持って賛成したので『トリガー条項』の凍結解除をやりきりたい。岸田総理大臣も覚悟を持ってほしい」と求めたのに対し、岸田総理大臣は「与党と国民民主党の間でしっかり議論と検討を進めていきたい」と応じ握手を交わしました。

また日本維新の会の馬場代表とは、23日夜、総理大臣公邸の居住スペースの設備に不具合が生じ、岸田総理大臣が急きょ、近くのホテルに宿泊したことが話題になり、岸田総理大臣は「きのうはちょっと不都合があった。きょうは公邸に帰れると思う」と述べました。

森屋官房副長官「与野党を超えて理解していただいた」

森屋官房副長官は記者会見で「総合経済対策の裏付けとなる補正予算案は国会で精力的に審議され、デフレ完全脱却のための千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないという趣旨に対し、与野党を超えて理解していただいたと受け止めている」と述べました。

その上で「補正予算案に盛り込まれた取り組みを国民に理解してもらえるよう、引き続き参議院でも丁寧な説明に努め、一日も早い成立に向け努力していきたい」と述べました。

立民 泉代表 “物価高や生活への支援になっておらず反対”

立憲民主党の泉代表は記者会見で、「補正予算案に反対の立場だ。時期はずれの所得税の減税は今の物価高や生活に対する支援になっておらず、結局は国債を余分に発行することになり、大盤ぶるまいの人気取りの減税には賛成できない」と述べました。

その上で、野党の日本維新の会や国民民主党が補正予算案に賛成することについて、「自民党からすればしてやったりで、岸田政権に賛成の材料をまかれ、飛びつかざるをえないという状況は残念だ。国民民主党は『トリガー条項』の協議が判断基準だと言うが、これまでも自民党に裏切られている。取り引きをして取り込まれてしまったら、『ミイラ取りがミイラになる』のではないか。国民民主党が政治に緊張感を持たせようという考え方を持っているのか、連合の芳野会長と今後の対応を協議しなければならない」と述べました。

維新 馬場代表「苦渋の判断だが賛成」

日本維新の会の馬場代表は、記者会見で「政府の経済対策は決して十分ではなく、『やらないよりまし』という50点くらいの評価だ。大阪・関西万博の会場建設費の増額分のうち、国の負担分が計上されており、大阪府などでも負担分を議会に諮るなか、反対するのは矛盾する面もあり、苦渋の判断だが賛成した」と述べました。

一方、「トリガー条項」の凍結解除については「発動されれば即効性があり、日々の暮らしの物価にも反映されるので賛成だが、そもそもガソリン税の暫定税率を廃止すべきだ」と述べました。

公明 石井氏 「維新と国民民主賛成 補正予算案が必要との認識」

公明党の石井幹事長は記者団に対し「野党の日本維新の会と国民民主党も賛成したことは、多くの国民が補正予算案が必要だと認識していることの反映ではないか。重要な課題に応える中身なので、いち早く成立を期したい」と述べました。

共産 田村政策委員長「参議院でも徹底的に追及したい」

共産党の田村政策委員長は、記者会見で「国民が全く期待していない経済対策の中身で、消費税の減税こそ、物価高騰対策として求められている。自民党の派閥のパーティー券の問題も、裏金に回っている疑念は払拭(ふっしょく)できず、参議院でも徹底的に追及したい」と述べました。

一方、日本維新の会や国民民主党が賛成したことについて、「大変疑問だ。岸田内閣の経済政策には日本維新の会もかなり厳しい質問をしており、国民民主党も『トリガー条項』を検討するから賛成というのはいかがなものか。対決する野党の立場ではない」と述べました。

国民民主 玉木代表「覚悟を持った賛成」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「覚悟を持った賛成だ。長年の課題だった『トリガー条項』の凍結解除を必ず勝ち取りたい。ガソリン減税はわかりやすく、中小企業や地方の賃上げの後押しにもなるので、内閣支持率が上がらない岸田政権にとっても正念場だ。実現しなければ、厳しく批判しなければならず、政府・与党との関係も大きな岐路を迎える」と述べました。

また「トリガー条項」の凍結解除が実現できなかった場合の自身の責任について問われたのに対し、「背水の陣で臨みたい。進退の覚悟はできており、幹部も共有している」と述べました。