ロシア離れが鮮明に アルメニアが軍事同盟の首脳会議を欠席

ロシアのプーチン大統領は旧ソビエトの国々が加盟する軍事同盟の首脳会議に出席し、結束をアピールしました。しかし、加盟国のアルメニアの首相は会議を欠席し、ロシア離れが鮮明となっています。

ロシアのプーチン大統領は23日、隣国ベラルーシの首都ミンスクを訪れ、ロシアが主導して旧ソビエトの国々が加盟する軍事同盟のCSTO=集団安全保障条約機構の首脳会議に出席しました。

プーチン大統領は会議で、CSTOの即応部隊の強化などに取り組んできたとしたうえで、「ロシアや加盟国の国々はいかなるテロ行為も認めない」と述べ、結束をアピールしました。

また、プーチン大統領の盟友で、議長国ベラルーシのルカシェンコ大統領も「加盟国とユーラシアの安定を確保する上でこの組織は不可欠だ」と強調しました。

一方で、アルメニアのパシニャン首相は会議を欠席し、係争地のナゴルノカラバフを巡って、隣国アゼルバイジャンの軍事行動に敗北した不満を、後ろ盾としてきたロシアに示したものとみられています。

アルメニア側はCSTOから離脱するつもりはないとしていますが、パシニャン首相は先月も旧ソビエト諸国の首脳会議を欠席したばかりで、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「アルメニアの欠席は遺憾だ」と批判しました。

プーチン大統領はウクライナ情勢を巡って対立を深める欧米側に対抗する上で、ロシアの勢力圏とみなす加盟国の結束を打ち出したいねらいですが、アルメニアのロシア離れが鮮明となっています。

突然カザフ語で… 旧ソビエト諸国でロシアから距離を置く動き

ロシアによるウクライナ侵攻以降、旧ソビエトの国々の中では、ロシアから距離を置く動きが目立ち始めています。なかでも顕著なのがエネルギー資源も豊富な中央アジアのカザフスタンです。

カザフスタンのトカエフ大統領は去年6月、ウクライナ東部2州の親ロシア派による一方的な独立宣言を認めないと発言しました。

また、今月9日、トカエフ大統領はカザフスタンを訪れたプーチン大統領と共同記者会見を行った際、突然、カザフ語で話し始め話題となりました。

ロシアと旧ソビエト諸国が参加する会談や会見ではロシア語が使われるのが通例で、その場にいたペスコフ報道官やラブロフ外相などロシア側の代表団が慌てて同時通訳の機器をつける場面も見られました。

ロシアの一部メディアは、旧ソビエト諸国が関わる会議などがロシア語だけで行われなかったのは異例の事態だと指摘しています。

また、独立系メディアは、プーチン大統領が共同会見に先立って行われたイベントで、トカエフ大統領の名前を何度も間違えたことに対するトカエフ氏の「仕返し」ではないかという見方も伝えています。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官はプーチン大統領のカザフスタン訪問について、「成功だった」という認識を示しました。