イスラエル軍 ガザ地区病院制圧し捜索続く 現地は燃料不足深刻

イスラエル軍は、イスラム組織ハマスの拠点があると主張して突入したガザ地区の病院の複数の建物などを制圧し、証拠の捜索などを続けています。一方、現地で深刻な燃料不足が続く中、イスラエル側は、ガザ地区への限定的な燃料の搬入を認めることを決め、人道状況をめぐる国際的な批判をかわすねらいもあるとみられます。

ガザ地区北部で地上侵攻を続けているイスラエル軍は17日、ハマスの重要な拠点があると主張して突入したガザ地区最大のシファ病院を作戦を指揮する司令官が訪れたとする動画を公開しました。

この中で、司令官は兵士たちに向かって「われわれは病院でハマスが活動していた確実で明らかな痕跡を見つけている」と述べ、これまでに見つけたトンネルの縦穴などがハマスが病院を利用していた証拠だと主張しています。

一方、いまもシファ病院の中に残る医師の1人が17日、ロイター通信の電話インタビューに応じ、病院には、イスラエル軍の戦車や部隊が展開していると明らかにしたうえで「イスラエル軍は何も見つけられていない。病院内では彼らに抵抗している人はおらず、イスラエル軍に対する銃声は1発も聞こえない」と証言しました。

イスラエル軍は、主張を裏付ける証拠の捜索などを続けているとみられ、ハマスの重要な拠点が見つかるのかどうかが、焦点になっています。

こうした中、イスラエルのハネグビ国家安全保障顧問は、戦時内閣が、1日2台の燃料を積んだトラックのガザ地区への搬入を認めることを決めたと17日、明らかにしました。

ガザ地区では深刻な燃料不足が続いていて、16日にNHKガザ事務所のカメラマンが南部ラファで撮影した映像では、市内の通りで、チェーンソーで小さく切られた木がまきとして販売され、多くの人が買い求めていました。

まきを売っていた男性は「火をおこすためになんとか解決策を見つけなければいけません」と訴えていました。

イスラエル側は、この措置はアメリカの要請に応じた決定だとしていて、限定的な燃料の搬入を認めることで、国際的な批判をかわすねらいもあるとみられます。

イスラエル軍「シファ病院での作戦続ける」

イスラエル軍の報道官は17日「地下にあるインフラ施設を探し出すため、シファ病院での作戦を続ける」と述べ、引き続き、イスラエル軍が地下にあると主張する拠点の捜索などを行う考えを示しました。

その上で今後の軍事作戦について「われわれはハマスが存在する場所にはガザ地区の南部であっても到達するだろう。それは、軍にとって最善の時間と場所、条件で行われるだろう」と述べ、ガザ地区の南部でも攻撃を強化する可能性を示しました。