【18日詳細】イスラエル パレスチナ情勢

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イスラエル軍は、イスラム組織ハマスの拠点があると主張して突入したガザ地区の病院の複数の建物などを制圧し、証拠の捜索などを続けています。一方、現地で深刻な燃料不足が続く中、イスラエル側は、ガザ地区への限定的な燃料の搬入を認めることを決め、人道状況をめぐる国際的な批判をかわすねらいもあるとみられます。

※11月18日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。

UAE ガザ地区のけが人を受け入れ

イスラエル軍の攻撃によってガザ地区でけがをした子どもたちが治療を受けるため、18日、UAE=アラブ首長国連邦に到着しました。

UAEの首都アブダビにある国際空港に現地時間の18日午前、チャーター機で到着したのは、ガザ地区でけがをした18歳未満の子ども9人とその家族の合わせて15人です。

チャーター機はUAE政府が手配したもので、ストレッチャーや車いすに乗せられた子どもたちが次々と降りたあと、救急車で、アブダビ市内の病院に搬送されました。

空爆でけがをした孫の付き添いで来た60代の男性は「多くの人が亡くなってしまった。いま生きている人には無事でいてほしい。ガザはめちゃくちゃに壊され、状況は本当に厳しい。もはやゴーストタウンのようになってしまった」と泣きながら訴えていました。

ガザ地区では、イスラエル軍による激しい攻撃で、病院では医薬品も電力も不足していて、けが人が適切な処置を受けられない深刻な状況に陥っています。

UAE政府はガザ地区から治療が必要な人1000人を受け入れる方針を示しているほか、野外病院を現地に設営するため、すでに資材や医薬品などをエジプトに送っていて、エジプトやイスラエルなどとの協議を続けているとしています。

イスラエル軍「シファ病院での作戦続ける」 南部で攻撃強化も

イスラエル軍の報道官は17日「地下にあるインフラ施設を探し出すため、シファ病院での作戦を続ける」と述べ、引き続き、イスラエル軍が地下にあると主張する拠点の捜索などを行う考えを示しました。

その上で今後の軍事作戦について「われわれはハマスが存在する場所にはガザ地区の南部であっても到達するだろう。それは、軍にとって最善の時間と場所、条件で行われるだろう」と述べ、ガザ地区の南部でも攻撃を強化する可能性を示しました。

米 NYタイムズ記者 シファ病院を取材 軍による制限も

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは記者がイスラエル軍の同行のもと、シファ病院を取材した内容を伝えています。

それによりますと、記者が病院を訪れたのはイスラエル軍がシファ病院に突入したおよそ48時間後の今月16日夜で、ハマスの戦闘員がまだ病院内にいる可能性があるとして病院の敷地の一部のみで取材が許されたということです。

この中では、イスラエル軍がハマスの拠点につながるトンネルの縦穴だと主張している場所を案内され、内部に電気の配線や金属製の階段も確認できたということですが、記者は「暗闇の中、その縦穴がどこにつながっているのか、どれくらいの深さまで続いているのかは分からなかった」としています。

一方、病院内に残されている患者や医療スタッフと会ったり、インタビューしたりすることは禁じられたということで、今回の制限された取材ではイスラエル軍の主張どおりハマスがシファ病院を拠点として使っているかどうかは分からないとしています。

ガザ地区南部ハンユニスの住民「支援届いていない」

イスラエル軍が、ガザ地区北部の住民に対し南部に退避するよう通告する中、ロイター通信は18日、多くの避難民が身を寄せているガザ地区南部のハンユニスの様子を配信しました。

映像には、パンを販売する店の前に大勢の人が詰めかけて、押し合いながら手を伸ばしてパンを入手しようとしている姿が写っています。また、白いテントや洗濯物を干している場所のすぐ脇に、たくさんのごみ袋が回収されないまま散乱しています。

別の場所では水道管が壊れ、道路に水があふれていて、衛生環境が悪化し、病気のまん延も懸念される中人々が厳しい避難生活を強いられている様子がうかがえます。

家が破壊されたという女性は、鉄筋がむき出しになって激しく壊れた建物の中で火をおこして料理をしていて、「支援は届いていません。状況は本当にひどく、悪化しています」と訴えていました。

WFP=世界食糧計画はガザ地区に供給されている食料は必要な量の1割にすぎず、人々は差し迫った飢餓の危機に直面しているとしています。

シファ病院近くの施設に137人 約半数は子ども

国境なき医師団によりますと、今月11日以降衝突の影響で、スタッフや家族は施設の外に出ることができず、14日には施設に銃弾が撃ち込まれたほか、16日には貯水タンクが攻撃されるなどしていて、17日は非常に近くで戦闘が行われていると報告があったということです。

施設に残された137人のうち、およそ半分にあたる65人は子どもだということです。

国境なき医師団の担当者は「数日前に食料は底をつき、子どもたちは塩分の含まれた水を飲み、体調を崩し始めている。いますぐ退避しなければならない」とコメントしています。

衛星画像にガザ地区北部から南部へ退避する大勢の人々

人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」が17日に撮影した画像には、ガザ地区北部から南部に向かって退避しているとみられる大勢の人々が写っています。

周囲の状況から、画像の地点はガザ地区の中心部を東西に流れるワディ・ガザと呼ばれる川の北側とみられます。人々はガザ地区を南北に貫くサラハディン通りに設けられた施設の北側に長い列を作って密集し、何かを待っているように見えます。

また、そこからサラハディン通りを数百メートル南に進んだ地点を写した画像では、人々が徒歩で移動する様子が捉えられているとみられます。

イスラエル軍は今月4日から連日、ガザ地区北部の住民に対し、サラハディン通りを使って退避するよう、SNSで通告しています。

国連事務次長 “ガザ北部 食料・水が危機的 通信も機能せず”

国連は17日、通信の遮断と燃料不足が原因で、人道支援物資を運ぶ車列の管理や調整ができずこの日、ラファ検問所を通じた支援活動は行わないことになったと発表しました。

OCHA=国連人道問題調整事務所のトップ、グリフィス事務次長は17日、国連総会の会合にオンラインで出席し、「ガザ地区の特に北部では、食料と水の供給が危機的な状況に陥っている。燃料が足りないため、通信など他の重要なインフラも機能しなくなっている」と述べ強い危機感を示しました。

また、ガザ地区で通信が遮断され、情報が更新されていないことから実際の死傷者の数は、発表されている数より多い可能性が高いと指摘しました。

その上で「多くの点で国際人道法は根底から覆されてしまったようだ。この人道危機は耐え難いものであり、これ以上続けてはならない」と述べ、民間人の保護と即時停戦を改めて訴えました。

燃料供給でガザ地区の通信サービス一部復旧へ

ガザ地区の通信会社は17日「主要な発電機を動かすための限られた量の燃料が供給され、複数の地域で通信サービスを一部復旧させる」と発表し、通信サービスが部分的に復旧する見通しだと明らかにしました。ただ、電話やインターネットの通信サービスを今後も維持できるかどうかは、継続的に燃料供給を受けられるかどうかにかかっているとしています。

イスラエルの戦時内閣はガザ地区への燃料の搬入を限定的に認める決定をしていて、今後、人道危機の改善に向けて燃料が継続して運び込まれるかが焦点です。

ガザ地区の燃料不足深刻 伐採してきた木で“まき”の売買も

イスラエルのハネグビ国家安全保障顧問は、戦時内閣が、1日2台の燃料を積んだトラックのガザ地区への搬入を認めることを決めたと17日、明らかにしましたが、1か月以上続く攻撃と封鎖によってガザ地区の燃料不足は依然として深刻な状況が続いています。

今月16日にNHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが南部ラファで撮影した映像では、市内の通りで、男性たちが伐採してきた木をチェーンソーで小さく切ってまきとして販売し、多くの人が買い求めていました。まきを売っていた男性は「燃料不足なので、まきは代用品になっています。火をおこすために、まきを集めたり、古本を燃やしたりなんとか解決策を見つけなければいけません」と訴えていました。

また、食材を販売する店ではふだんは専用の機器を使ってとうがらしを切り刻んでいますが電力が確保できずその機器が使えないため、手作業で切り刻む子どもの姿もありました。ガザ地区では井戸水のくみ上げや携帯電話の充電にも燃料で動く発電機を利用していますが、燃料が足りない状況が続いています。

イスラエル軍の司令官がシファ病院に 軍が動画公開

イスラエル軍は17日、ガザ地区での作戦を指揮する司令官がシファ病院を訪れたとする動画を公開しました。このなかで、司令官は兵士たちに向かって「われわれは病院でハマスが活動していた確実で明らかな痕跡を見つけている」と述べ、これまでに見つけたトンネルの縦穴などがハマスが病院を利用していた証拠だと主張しています。

“シファ病院内の医師”が取材に「軍は何も見つけられず」

イスラエル軍がハマスの拠点があると主張してガザ地区最大の病院で軍事作戦を続ける中、ロイター通信は17日、病院内にいるという医師に電話インタビューを行い、その内容を配信しました。

シファ病院で外科医として働くモハララティ氏は17日、電話インタビューで、現状について「とても恐ろしい状況で、イスラエル軍の戦車や部隊が病院のあちらこちらを行き来しています。窓からのぞいたり病院内を動いたりする人を誰であっても撃つことでイスラエル軍はみずからの安全を確保しようとしています」と説明しました。

イスラエル軍は病院にハマスの拠点があると主張していますが、モハララティ医師は「彼らは何も見つけられていません。病院内ではイスラエル軍に抵抗している人はおらず、イスラエル軍に対する銃声は1発も聞こえません。しかし、民間人の患者が多くいるこの病院に対するイスラエル軍の攻撃は激しく、私たちは身動きがとれないのです」と話しました。

インタビューの途中でも、時折、銃声が鳴り響いていて、モハララティ医師は「イスラエル軍は恐怖を感じさせようと、銃撃を続けながら人々を生かしています。彼らはあらゆる場所を爆撃し、発砲し続けています」と話していました。

モハララティ医師によりますと、この病院は主だった2つの建物が2階部分でつながっていますが、とりわけ日没後や朝は、イスラエル軍のスナイパーが、移動しようとする人に向けて発砲してくるとしています。このため、日中の4時間ほどで行き来して患者を診ているものの、患者が助けを求めても向かうことができないときもあるほか、通信手段が破壊されているためほかの医師との連絡もとれないということです。

さらに「彼らは院内のCTスキャンを壊しました。なぜなのかわかりません」と述べて、イスラエル軍が医療機器も破壊したと証言しました。また、食料や飲料水について「きのう、わずかな食料や水が用意されたが、全く足りない。ここにいる人たちの4割をカバーしているにすぎないでしょう」として、イスラエル軍による食料や水の提供があったものの、量は限定的だったと言います。

院内に残る赤ちゃんについては「きのうの時点で36人いて、幸いなことに命を落とした子はいません。しかし飲料水がなく、残念ながら多くの赤ちゃんに胃炎や下痢の症状があります。子どもたちのための物資、良質な水が必要なのです」と訴えました。

米当局者“イスラエルは人質解放前の燃料搬入 即時承認求める”

イスラエルがガザ地区への燃料の搬入を承認したことをめぐって、アメリカ国務省の当局者は17日、人質解放を前に燃料を搬入することに消極的だったイスラエルに対し、即時に搬入を承認するよう求めていたことを明らかにしました。

承認に先立って、ブリンケン国務長官は15日から16日にかけて戦争管理内閣に加わる野党党首のガンツ前国防相などと電話で会談したということです。

当局者によると、この中でブリンケン長官は「このままだと人道上、大惨事になる」などと伝え、イスラエルが燃料の搬入を承認することで合意したということです。

燃料は48時間ごとに14万リットルがガザ地区南部に搬入されることになるといい、人道支援物資の運搬や病院の運用、通信手段の確保のためなどに使われるといいます。当局者は燃料の搬入は18日にも始まる見通しだとしています。

ガザ地区北部のインドネシア病院も医療環境悪化

ロイター通信は、ガザ地区北部ベイト・ラヒヤにあるインドネシア病院で16日に撮影されたとする映像を配信しました。

イスラエル軍がガザ地区で地上侵攻を続ける中この病院には、患者やその家族、また家を追われた人が集まっています。

映像では子どもを含むたくさんの患者が床に寝かされ、ぐったりと横になっているのが確認できます。ほとんどの患者は足や腕、頭などに包帯を巻かれていて、床や毛布のいたるところに血がついているのも確認できます。

聴診器を手にした医師の姿や点滴を持つ人の姿も見られますが、満足な治療は施せない様子で、医療環境が極めて悪化していることが映像からもうかがえます。