日中首脳会談 “日本時間のきょう午前に実施” 日本政府

アメリカを訪れている岸田総理大臣はこのあと、中国の習近平国家主席との日中首脳会談に臨みます。

新たな時代の建設的で安定的な日中関係の構築に向けて、意思疎通を重ねていくことを確認したい考えです。

また、日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃など両国間の懸案をめぐる日本の立場を改めて伝える方針です。

岸田総理大臣と中国の習近平国家主席との首脳会談は、このあと日本時間の午前10時半すぎからサンフランシスコのホテルで行われます。

両首脳の会談は、去年11月以来1年ぶりです。

岸田総理大臣としては、日中両国が過去にまとめた4つの政治文書の原則などを堅持し、「戦略的互恵関係」を包括的に推進していく重要性を呼びかけることにしています。

その上で、新たな時代の「建設的かつ安定的な日中関係」の構築に向けて、引き続き首脳を含むあらゆるレベルで緊密に意思疎通を重ねていくことを確認したい考えです。

一方、岸田総理大臣は、沖縄県の尖閣諸島を含めた東シナ海情勢について、深刻な懸念を改めて伝えるほか、中国で拘束された日本人の早期解放を働きかける方針です。

さらに、福島第一原発の処理水放出をめぐり、中国に科学的根拠に基づく対応とともに、日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を改めて求めることにしていて、一連の懸案で、具体的な進展が得られるかも焦点です。

日中首脳会談が行われれば、中国は、建設的で安定的な両国関係の構築に向けて前向きな姿勢を示す一方、台湾情勢では日本が関与しないよう強くけん制するものとみられます。

台湾について、中国は、一歩も譲ることができない「核心的利益」と位置づけていて、習近平国家主席は日本時間の16日行われたアメリカのバイデン大統領との首脳会談でも台湾の平和的な統一への支持を求めました。

中国は、台湾情勢を「内政の問題だ」としていて、日本との首脳会談の場でも、「いかなる者も内政干渉は許さない」など日本が関与しないよう強くけん制するものとみられます。

また、東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水の海洋放出について、中国は、処理水を「核汚染水」と呼んで、ことし8月から日本産水産物の輸入停止措置を続けていて、この立場を崩さないものとみられます。

一方、中国外務省は、王毅外相が、今月9日に、秋葉国家安全保障局長と会談した際「双方が両国関係を健全で安定した発展の軌道に戻すよう努め、意思疎通を続けることで一致した」と発表していて、両国関係の改善に意欲を示すものとみられます。

中国としては、国内経済の先行きに不透明感が広がるなか、日中平和友好条約の締結からことしで45年となることも踏まえ、日本とは両国の経済関係を強化し、日系企業の投資を呼び込みたい考えを示すとみられます。

松野官房長官「建設的かつ安定的な関係の構築に向け対話進める」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「日中両国間にはさまざまな可能性とともに数多くの課題や懸案があるが、わが国として主張すべきは主張し、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係の構築を進めるというのが一貫した方針だ。これに向けて対話を進めていく会談としたい」と述べました。