“私人逮捕” ユーチューバーの撮影 鉄道各社「認めていない」

電車内や駅の構内で痴漢や盗撮などが疑われる不審な行為をしたとして、ユーチューバーが乗客を「私人逮捕」と称して取り押さえ、その様子を撮影した動画をネット上に投稿するケースが相次いでいます。
鉄道各社は、こうした動画の撮影は認めておらず、トラブルにつながるおそれがあるとしてやめてほしいとしています。

“私人逮捕”動画 100万回近く再生も

JRや私鉄の電車内や駅の構内で痴漢や盗撮などが疑われる不審な行為をしたとして、複数のユーチューバーが乗客を「私人逮捕」と称して、取り押さえる様子を撮影した動画がことしに入って数多くネット上に投稿されていて、中には100万回近く、再生されているものもあります。

疑われた乗客が階段から…

一般の人でも現行犯であれば逮捕することは認められていますが、中には撮影された乗客が駅の階段から転げ落ちたり、ほかの乗客とぶつかったりしている様子などが撮影されている動画もあります。

さらに一部の動画では乗客の顔がそのまま公開されているケースもあります。

鉄道各社「撮影や投稿 認めていない」

NHKが首都圏の主な鉄道会社6社に取材したところ、乗客が巻き込まれてケガをするなどのトラブルにつながるおそれがあることやプライバシー保護などの観点から、いずれもこうした動画の撮影や投稿は認めていないとしています。

また、一部の会社では、ホームページで注意点の記載を増やすなどの対応も検討しています。

JR東日本は、「駅や車内の秩序を乱す行為はやめてほしい。トラブルにつながるため、ほかの乗客が映るような撮影や動画の公開もやめてほしい」とコメントしています。

鉄道各社のコメント

【JR東日本】
「周囲のお客様に危険が及ぶ行為など、駅や車内の秩序を乱す行為はおやめいただきたい。また、プライバシーに関わるほか、お客さま同士のトラブルにもつながるため、ほかの乗客が映るような撮影やその動画の公開についてもおやめいただきたい」

【東京メトロ】
「お客様同士のトラブルや撮影に伴うお客様の肖像権やプライバシーの侵害などに当たる可能性もあります。周囲のお客様に危険が及ぶ行為については、お止めいただきたい。なお、当社公式ホームページ上でも、お客様へのお願いとして、撮影時の注意点に関する記載を拡充する方向で検討しています」

【東急電鉄】
「撮影しながらの歩行は、お客さま同士の接触や、ホームからの転落のおそれなど大きな事故につながりかねませんので、おやめいたいただくことをお願いしています。昨今の状況を鑑み、必要に応じて対策を検討していきます」

【小田急電鉄】
「被害者にモザイクはかけられているものの、利用駅や服装など個人の特定につながる情報が含まれているとも言え、個人情報の観点での課題があると考えられるため、その様子の撮影は控えていただきたい。無理に追いかけるなどの行為はほかのお客さまの怪我を誘発する危険性が高いことから、警察官または駅係員への通報をお願いしたい」

【西武鉄道】
「他の迷惑行為と同様、危険行為に当たる撮影に関しては、撮影をお止めいただくなど毅然とした対応を取ります。また、お客様や係員などのプライバシーの観点からもご遠慮いただきたい」

【京王電鉄】
「お客様の安全や安心を乱すような撮影行為が見られた際は、おやめいただくようお願いしています。お客様が安全に安心して駅や電車をご利用いただけるようご協力ください」