硫黄島沖 噴火活動停止か 専門家「新たな陸地は浸食で縮小か」

小笠原諸島の硫黄島の沖合で先月下旬から続いていた噴火活動が停止したとみられることが上空からの観測で分かりました。新たにできた陸地について、調査に同行した専門家は「波による浸食で縮小していくと考えられる」と指摘しています。

硫黄島の南の沖合では先月21日に噴火が発生し、黒色の土砂を含んだ水の柱が噴き上がっているのがみつかったほか、その後、新たに陸地ができていることが確認されました。

海上保安庁が10日に行った航空機による観測の結果、新たな陸地は溶岩流と噴出物からなり、南北およそ400メートル、東西200メートルほどに広がっていて高さ数十メートルの噴気が上がっていたものの、噴火は止まっていることが確認されました。

同行した東京工業大学の野上健治教授は新たな陸地について「海水による冷却が進んでいて、噴火活動は停止した状態とみられる。溶岩流は岩礁のように残る可能性があるが、ほとんどは火山の噴出物が堆積しているにすぎないので、波による浸食で縮小していくのではないか」と話しています。

一方、野上教授は周囲の海水は濃く変色した状態で広い範囲に分布しているため、熱水活動は現在も活発だと指摘しています。

海上保安庁は引き続き航行警報を発表し、付近を通る船舶に注意を呼びかけています。