【6日詳細】イスラエル軍“軍事的にガザ地区は南北に分断”

イスラエル軍の報道官は「ガザ地区は実質的にガザ北部とガザ南部になった」と述べて軍事的に南北に分断したと発表しました。

今後、すでに包囲したとしている中心都市のガザ市での市街戦が本格化するものと見られ、犠牲者がさらに増えることが懸念されます。

※11月6日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを詳しくお伝えします。

ガザ地区の死者 1万人超え うち4割以上は子ども 保健当局

イスラエルとイスラム組織ハマスの一連の衝突で、ガザ地区の保健当局は6日、先月7日からのガザ地区の死者が1万22人になったと発表しました。

このうち4割以上にあたる4104人は子どもだということです。

イスラエル側の死者は少なくとも1400人で双方の死者は1万1000人を超えています。

米ブリンケン国務長官 トルコ外相と会談

アメリカのブリンケン国務長官は6日、トルコの首都アンカラでフィダン外相との会談に臨みました。

会談後、ブリンケン国務長官は「ガザ地区への人道支援物資は今後数日で、拡大できるだろう」と述べ、ガザ地区への人道支援物資の搬入の状況が改善されることに期待を示しました。

アメリカ側としては、ハマスに一定の影響力を持つトルコへ働きかけることで、人質の解放や、アメリカが呼びかける「一時的な戦闘の停止」への糸口を見出したい考えもありそうです。

トルコのエルドアン大統領は当初、イスラエルとハマスの仲介に意欲を示していましたが、ガザ地区への攻撃が激化するなか「ハマスはテロ組織ではない。ガザ地区とその市民を守るイスラム戦士だ」と述べるなどイスラエルを非難しハマスを擁護する姿勢を鮮明にしています。

一方、ブリンケン国務長官は5日には地中海に浮かぶ島国キプロスを訪問し、フリストドゥリディス大統領とも会談しました。

キプロス政府の報道官は、「キプロスからガザ地区へ人道支援物資を海上輸送する計画についても詳細に話し合った」と明らかにしています。

専門家「イスラエル軍の報復過剰、国際法に反する」

イスラエル軍がガザ地区で空爆を繰り返し、民間人の犠牲が増え続けていることについて国際法に詳しい早稲田大学の萬歳寛之教授は「空爆は相手を識別しながら攻撃をすることがなかなか難しいが、空爆が必要だとしても民間人や民間施設を攻撃しないように区別する必要はあり、そういう空爆の仕方にはなっていない。当初、ハマスがやったことはよくなかったとしても、今のイスラエル軍による報復は過剰なもので、国際法に反すると判断せざるをえない」と指摘しました。

そのうえで「民間人と軍人との区別をつけることが難しいからといって無差別に攻撃していいのではなく、民間人に退避するための時間を十分に与えているかなど区別するための努力を尽くしたかもわれわれは見ていかないといけない。今の攻撃のしかたは国際人道法の要請にかなったものではないと思われる」と指摘し、軍事作戦の妥当性を保つためには、人道とのバランスを考える必要があると強調しました。

イスラエル軍報道官 軍事的にガザ地区は南北に分断したと発表

イスラエル軍の報道官は「ガザ地区は実質的にガザ北部とガザ南部になった」と述べて軍事的に南北に分断したと発表しました。

今後、すでに包囲したとしている中心都市のガザ市での市街戦が本格化するものと見られ、犠牲者がさらに増えることが懸念されます。

ガザ地区では5日夜から6日朝にかけても照明弾に照らされる中空爆などによる激しい爆発が続き、イスラエル軍はハマスが拠点とする地下トンネルや監視塔など450か所を攻撃し軍事拠点1か所を制圧したと発表しました。

パレスチナのメディアはガザ地区中部のヌセイラト難民キャンプや南部のラファでも空爆がありあわせて数十人に上る死者が出ていると伝えています。

こうしたなかイスラエル軍のハガリ報道官は5日、「部隊はガザ地区の海岸とガザ市の南に達してガザ市を包囲した。きょう、ガザ地区は実質的にガザ北部とガザ南部になった」と述べてガザ地区を軍事的に南北に分断したと明らかにしました。

イスラエル軍は引き続きガザ地区の北部から南部への住民の退避を促していて、今後、中心都市のガザ市があるガザ地区の北部への攻撃を強化するものとみられます。

建物や人口が密集したガザ市での市街戦が本格化すれば、すでに1万人近いガザ地区での死者がさらに増えることが懸念されます。

一方、イスラエル北部ではイスラエルと敵対するレバノンのシーア派組織ヒズボラとの戦闘が続いています。

レバノン側の報道では5日、イスラエル軍による攻撃で子ども3人とその祖母が死亡しました。

その後、イスラエルではレバノン側から発射された対戦車砲が国境近くの集落に着弾しイスラエルの市民1人が死亡したほか北部のキリヤット・シュモナでもとまっていた車に着弾して大きな炎が上がりました。

イスラエルと敵対するヒズボラの最高指導者ナスララ師は、3日の演説で民間人に被害が加えられれば、イスラエルへの攻撃の度合いを強める姿勢を示していて、今後、イスラエルは国の南北で戦闘が激化する事態に直面することも予想されます。

国連や国際NGO 声明を発表 即時の人道的停戦などを求める

イスラエルとパレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの衝突が始まって、7日で1か月となるのを前に、OCHA=国連人道問題調整事務所などの国連機関や国際NGOの代表、18人が連名で声明を発表し、「30日がたった。もう十分だ」として即時の人道的な停戦などを求めました。

声明ではまず、一連の衝突でイスラエル側ではおよそ1400人が亡くなり、200人以上がガザ地区で人質になっていることはおそろしいことだとしています。

一方、ガザ地区では、さらに多くの住民が殺害され、220万人が食料、水、医薬品、燃料などを断たれていることや、自宅や避難所、病院などが爆撃を受けていることは許されないことだとしています。

そして、
▽当事者に対し、国際人道法などを順守し
▽人質となっているすべての民間人の即時かつ無条件の解放を改めて求めています。

また、
▽民間人、病院、避難所などは保護されなければならず
▽食料、水、医薬品、燃料も安全かつ迅速に、必要な分だけ届けられなければならないとしています。

そして、「30日がたった、もう十分だ。いますぐ止めなければならない」として即時の人道的な停戦を求めています。

イラクとシリアに駐留のアメリカ軍の部隊に対し攻撃が相次ぐ

パレスチナのガザ地区をめぐる情勢が緊迫化する中、イラクとシリアに駐留するアメリカ軍の部隊に対し、無人機やロケット弾による攻撃が相次いでいます。

これらの攻撃にはイランの支援を受けて活動するイラクの民兵組織が犯行声明を出していて、攻撃に使ったとする無人機の動画などを公開しています。

攻撃の背景には、ガザ地区を攻撃しているイスラエルへの軍事支援を続けるアメリカへの反発があります。

イラクでは2014年過激派組織IS=イスラミックステートが台頭し、一時期は広い地域を支配下に置きました。

この混乱の中、敗退を繰り返す政府軍に代わり、ISに立ち向かう存在として頭角を現したのが、イランの支援を受ける民兵組織でした。

ISがこの地域での存在感を低下させたあとも、これらの民兵組織は、いわば「イランの代理勢力」として、影響力を保持しているとされています。

一方、隣のシリアでも似た構図が見られます。内戦でアサド政権の政府軍は当初、反政府勢力やISとの戦いで苦戦を強いられましたが、民兵組織などの力を借りて劣勢を挽回し、軍事的な勝利を確実にしました。

この民兵組織を支援し、ともに戦ったのがイランの革命防衛隊やレバノンのイスラム教シーア派組織、ヒズボラでした。

民兵の中には、イランが隣国のパキスタンやアフガニスタン、それにイラクから、同じシーア派の住民をリクルートして送り込んだ人たちもいるとされています。

シリアの内戦の大勢が決したあとも、民兵はイランの代理勢力として、イスラエルをけん制するために活動を続けているとされ、イスラエルはそうした勢力の関連施設に対し、たびたび空爆を行っています。

シリアの国営通信によると、今回、一連の衝突が始まったあとも、イスラエル軍は首都ダマスカスの空港などを繰り返しミサイルで攻撃していて、こうした民兵への補給路を断つことが狙いだとも指摘されています。

アメリカのブリンケン国務長官は5日、イラクを訪問し「イランと連携する武装勢力からの攻撃や脅迫は、決して容認できない」と述べこうした勢力やそれを支援するイランをけん制しています。

“ガザへの核爆弾投下 選択肢の一つ” 日本被団協代表委員が批判

パレスチナのガザ地区でイスラエル軍による激しい空爆などが続く中、イスラエルの閣僚がガザ地区に核爆弾を投下することも「選択肢の一つだ」と述べたことについて、全国の被爆者団体で作る日本被団協の箕牧智之代表委員は「発言がおどしなのか本気なのかは分からないが、『核』と聞いただけで寒気がした。ロシアによるウクライナ侵攻など世界中で争いが起き、いつ核兵器が使われてもおかしくないような状況だが、世界の指導者は核兵器が使われないために動くべきで、こうした発言は慎んでほしい」と述べて批判しました。

そのうえで「広島から核兵器廃絶を訴えてもなかなか世界に届かずはがゆさを感じるが、私たち被爆者が生きている間に核兵器をなくしてほしいと、世界に向けて声を上げ続ける覚悟だ」と話していました。

ヨルダン アブドラ国王「緊急の医療物資 ガザ地区の病院に投下」

人道危機が続くガザ地区で医療物資の不足が深刻化する中、ヨルダンのアブドラ国王は、ヨルダン空軍が緊急の医療物資をガザ地区の病院に上空から投下したと6日、SNSに投稿しました。

国王は「ガザ地区の戦争で傷ついたきょうだいに手を差し伸べることは、われわれの責務だ」としています。

投稿された画像では、物資の入った箱にヨルダンの国旗が付けられていて、重機を使って輸送機に運び込まれていました。

AFP通信は、イスラエル軍の話として、ヨルダン空軍による医療物資の投下は「調整されたものだ」と伝えています。

松野官房長官「G7外相会合 中東情勢について議論深める予定」

7日から東京で開かれるG7=主要7か国の外相会合について、松野官房長官は午後の記者会見で「イスラエル・パレスチナ情勢について突っ込んだ意見交換を行う。9月の国連総会時のG7外相会合後のさまざまな状況の変化も踏まえ、ウクライナやインド太平洋についても議論を深める予定だ」と述べました。

そして「ウクライナへの『支援疲れ』も指摘される中、どう対応するのか」と質問されたのに対し、日本の立場は変わらないとした上で「G7外相会合では議長国として、中東情勢の緊張度が増す中にあっても、G7は、ウクライナ支援で引き続き結束すべき旨を訴え、しっかりと議論をリードしていきたい」と述べました。

イスラエル軍 欧米メディアにガザ地区同行取材を許可

イスラエル軍はこれまでに一部の欧米メディアにガザ地区北部で短時間にかぎった同行取材を許可しています。

このうち、アメリカのABCテレビが5日放送した映像では、記者が移動中の軍用車両の車内から「爆発音が聞こえ、炎が見えた。進軍の1歩1歩が非常に危険なものだということを示している」と述べ緊迫した戦闘の様子を伝えています。

取材した具体的な場所については言及することが許可されなかったということですが、戦車や装甲車両が破壊された建物の周辺に展開し、兵士が自動小銃を構えて警戒にあたっている様子がうかがえます。

一方、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズも4日、イスラエル軍に同行する形でガザ地区で4時間ほどの短い取材を行ったと伝えました。移動は戦車5台と装甲車両2台の車列で行われ、車両の内部を撮影しないことや場所が特定できるような建物を写さないことなどいくつかの条件が付けられたとしています。

また、移動の際、イスラエル軍の装甲車両に同乗したことについて「パレスチナの記者はこのような保護を受けられず、空爆で何人もの記者が死亡している」と指摘しています。

ネタニヤフ首相「人質の解放なしに停戦はありえない」

パレスチナのガザ地区でイスラエル軍による激しい空爆などが続く中、イスラエルのネタニヤフ首相は「人質の解放なしに停戦はありえない」と述べ、現時点で、攻撃の手を緩める考えはないと強調しました。

一方、アメリカのブリンケン国務長官は訪問先のイラクで、人道目的での戦闘の一時停止が必要だという考えを改めて強調しました。

イスラエル軍はパレスチナのガザ地区で夜の空が明るくなるほど激しい空爆などを続けていて現地で医療活動を続けるパレスチナ赤新月社は5日、ガザ市のテルアルハワ地域にある病院の近くに攻撃があり多数の犠牲者が出ているとSNSに投稿しました。

攻撃が激しさを増す中で、イスラエルのネタニヤフ首相は5日、南部の空軍の基地を訪問し、兵士らを前に「人質の解放なしに停戦はありえない。われわれは勝つまで戦い続ける。ほかの選択肢はない」と述べ、攻撃の手を緩める考えはないと強調しました。

一連の衝突で
▽ガザ地区での死者は9770人にのぼり
▽イスラエル側でも少なくとも1400人が死亡しています。こうした中、中東などを歴訪しているアメリカのブリンケン国務長官は5日、事前の予告なしにイラクを訪問しました。

ブリンケン長官はガザ地区での人道支援について「1日におよそ100台のトラックが入るようになったが圧倒的に不足している。われわれは大幅に増やすために取り組んでいるが、戦闘の一時停止がそれを後押しすることになる」と述べて人道目的での戦闘の一時停止が必要だという考えを改めて強調しました。

また、イラクではアメリカ軍が駐留する基地にイランが支援する勢力による無人機などを使った攻撃が相次いでいることについて「われわれはイランとの衝突を望んでいるわけではないが国民を守るために必要なあらゆる手段を講じる」と述べ武装勢力とイランをけん制しました。

一方、ロイター通信は、レバノン南部ではイスラエル軍の空爆により子ども3人とその祖母が死亡したと伝え、レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織、ヒズボラは、報復としてイスラエル北部に攻撃を行ったとする声明を発表し、衝突の拡大も懸念されます。

松野官房長官 G7外相会合で改めて率直な意見交換を行う予定

松野官房長官は午前の記者会見で「東京で開催するG7=主要7か国の外相会合では、上川外務大臣の中東訪問も踏まえ、改めて率直な意見交換を行う予定だ。刻一刻と動く現地情勢を踏まえつつ、関係国や関係者などと意思疎通を行い、在留邦人の安全確保に万全を期しながら人道状況の改善や人道目的の戦闘休止、そして事態の早期沈静化に向けた外交努力を続けていく」と述べました。

また、イスラエルの閣僚のひとりがガザ地区に核爆弾を投下することも選択肢の1つだと述べたことについて「ネタニヤフ首相はこの発言について、現実からかけ離れている旨を述べ、この大臣を当面、閣議に出席させないこととしたと承知している」と述べました。

イラン・ハマスのトップ 対面での会談

最高指導者のハメネイ師の事務所は5日、声明を出し、ハニーヤ氏がイランを訪れたことを明らかにしました。そのうえで「ハニーヤ氏はガザ地区の情勢などを説明し、これに対してハメネイ師はガザ地区の人々の辛抱強さをたたえるとともに、アメリカなどの直接的な支援を受けたイスラエルの犯罪を強く非難した」としています。前日の4日にはイランメディアが、会談が数日前に行われたと伝えていましたが、声明では会談が行われた時期については明らかにされませんでした。

米国務長官 事前予告なしにイラクを訪問 イランをけん制

パレスチナのガザ地区をめぐる情勢が緊迫化する中、イラクではアメリカ軍が駐留する基地に無人機などによる攻撃が相次いで行われ、アメリカはイランが支援する勢力によるものだと非難しています。

ブリンケン長官はイラクのスダニ首相と会談したあと、記者団に対し「スダニ首相には、イランと連携する武装勢力からの攻撃や脅迫は、決して容認できないと伝えた。われわれはイランとの衝突を望んでいるわけではないが国民を守るために必要なあらゆる手段を講じる」と述べて武装勢力とイランをけん制しました。

そして「われわれはガザ地区での紛争がエスカレートせず、さらにほかの地域にも拡大しないよう懸命に取り組む」と強調しました。

ガザ地区への人道支援の状況については「1日におよそ100台のトラックが入るようになったが圧倒的に不足している。われわれは大幅に増やすために取り組んでいるが、戦闘の一時停止がそれを後押しすることになる」と述べて人道目的での戦闘の一時停止が必要だという考えを改めて示しました。

ガザ地区全域で大規模な通信遮断

パレスチナの通信会社は5日、ガザ地区全域で電話やインターネットが停止しているとSNSで明らかにしました。

以前復旧した回線が再びイスラエルによって遮断されたためだとしています。

これに関連して、ガザ地区で医療活動を行うパレスチナ赤新月社は「通信の遮断によりガザ地区にいるチームと連絡が取れなくなった」と窮状を訴えています。

その上で大規模な通信の遮断は一連の衝突が始まってから3回目だとしています。

イスラエル軍 病院周辺への空爆 正当性を主張 ハマスは反論

イスラエル軍はパレスチナのガザ地区北部で病院周辺への空爆などを続けていて多くの犠牲者が出る中で、イスラム組織ハマスが病院を攻撃の拠点にしているためだとして、正当性を主張しています。

一方、今月1日から始まったけが人と外国籍の人々のガザ地区からエジプトへの退避は、安全が確保出来ないためとみられる理由で停止しています。パレスチナのガザ地区への攻勢を強めるイスラエル軍は北部で病院周辺への空爆などを続けています。

パレスチナ赤新月社は5日、ガザ市のテルアルハワ地域で病院からおよそ50メートル離れた建物が標的になり、多数の犠牲者が出て、ICU=集中治療室にいる患者もけがをしたとしています。また、前日の3日には、ガザ地区最大級のシファ病院の近くで救急車の車列がミサイル攻撃を受けて15人が死亡しています。

これについてイスラエル軍の報道官は5日、これまでに空爆した病院ではイスラム組織ハマスが地下施設を置いているとして攻撃の正当性を主張しました。これに対して、ハマスは「イスラエルの主張はねつ造だ」として反論しています。

一連の衝突でガザ地区での死者は9770人にのぼり、イスラエル側でも少なくとも1400人が死亡しています。

このほか、ロイター通信は、レバノン南部でイスラエル軍の空爆により、子ども3人とその祖母が死亡したと伝えていて、レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラの報復により、衝突の拡大も懸念されます。