“ゼレンスキー大統領 欧米に裏切られたと感じている” 米雑誌

ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカの雑誌「タイム」に対して「最も恐ろしいことは戦争に対する慣れだ」と述べ、大統領の側近は、欧米側から必要な軍事支援を受けられていないとして大統領は裏切られたと感じていると明らかにしました。

アメリカの雑誌「タイム」が10月30日付けで報じたところによりますと、ゼレンスキー大統領はことし9月、アメリカを訪問したあとに応じた取材の中で「最も恐ろしいことは戦争に対する慣れだ。戦争疲れの波が押し寄せアメリカやヨーロッパでも見られる」と述べたということです。

また、大統領の側近は「タイム」に対して「欧米側は戦争に勝つ手段を与えずただ生き延びるだけの手段しか提供していない。大統領は欧米側に裏切られたと感じている」と述べました。

また、別の側近は、これまで作戦会議で雑談をしたり冗談を言ったりしていたゼレンスキー大統領について「いまでは、最新の情報を聞いて指示を出し、そして会議の部屋を出るだけだ」と述べました。

さらに戦況が芳しくない中であってもウクライナが最終的に勝利するという大統領の抱く信念が、周囲を心配させるほどにかたくなになっていて、そのことが新たな戦略などを打ち出そうとするチームの努力を損ねているとしています。

この記事によりますと、ゼレンスキー大統領は第3次世界大戦がウクライナで始まり、イスラエルで続き、アジアなどに広がるかもしれないと考えていて、人々がウクライナの情勢に関心を示さなくなったとして懸念しているということです。

一方、記事では、ゼレンスキー大統領の訪米を前にホワイトハウスが、ウクライナが行うべき汚職対策のリストを作成するなど国防省での疑惑も伝えられた汚職の問題を解決するようアメリカ側からの圧力が強まっているとしています。

ウクライナの政権内では「仕事への監視が強まり、官僚主義がまひし、士気が下がっている」という声も出ているということです。

この記事についてウクライナのポドリャク大統領府顧問は31日地元メディアに対して「独自の視点を持つジャーナリストの主観的な見方だ」とした上で「われわれのパートナーを裏切り者だとは考えていない」と述べ、一部の内容を否定しました。