“ガザ地区 救急車がミサイル攻撃受け15人死亡” パレスチナ側

イスラエルによるガザ地区への軍事作戦が続く中、パレスチナ側は3日、ガザ地区最大級の医療機関の近くで2台の救急車がミサイルによる攻撃を受けて15人が死亡したと明らかにし、犠牲となる市民が増え続けています。

イスラエルによるガザ地区への激しい空爆が続く中、パレスチナ赤新月社などは3日、ガザ地区最大級の医療機関、シファ病院の近くで2台の救急車がミサイルによる攻撃を受け15人が死亡し、60人以上のけが人が出ていると明らかにしました。

発表によりますと3日午後4時すぎ、5台の救急車からなる車列がシファ病院を出発し、患者をエジプトに退避させるため境界にあるラファ検問所を目指していました。

しかし病院から4キロほど離れたところで道路に大量のがれきや岩が散乱していて進めなくなったため引き返したところ、先頭の救急車が攻撃を受け、救急隊員や搬送中の患者がけがをしたということです。

残りの4台の救急車はそのまま走り続けたものの、病院の門の前に到着したところで、もう1台がミサイルによる攻撃を受けたということです。

イスラエル軍 “ハマスを標的にした攻撃”

これについてイスラエル軍は声明で「ハマスが使っていた救急車1台を特定し、攻撃した」として、空爆を認めた上でハマスのメンバーを標的にした攻撃だったと主張しました。

そしてハマスが救急車を使って戦闘員や武器を運んでいるとする情報があるとしています。

これに対しハマスは「標的となった救急車に戦闘員がいたという主張は根拠がない」などと反論しています。

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、今回の攻撃を受けて「報道に大きなショックを受けている。患者や医療関係者、医療施設、救急車は常に保護されなければならない」とSNSに投稿し、今すぐ停戦するよう訴えています。

10月7日からの一連の衝突で、ガザ地区の保健当局によりますとガザ地区での死者は子ども3826人を含む9257人、イスラエル側の死者は少なくとも1400人で双方の死者はあわせて1万600人を超えていて、犠牲となる市民は増え続けています。

現場とする映像には

ロイター通信が配信した現場とする映像には、救急車がサイレンを鳴らしたまま路上に連なって停車していて、けが人を救助しようと付近にいた人たちが駆け寄っている様子が映っています。

ガザの保健当局の報道官はインタビューで「イスラエル軍は、多数のけが人を乗せてガザ地区南部に向かっていた救急車の車列を標的にした。イスラエル軍は、医療チームとけが人などに対して大きな罪を犯した」と述べ、強く批判しました。

また、パレスチナ赤新月社がSNSに投稿した映像には被害にあったとみられる2台の救急車が映っていて、このうち1台はバンパーが大きく壊れたり窓ガラスが割れたりしています。

国連 グテーレス事務総長「救急車車列の攻撃恐ろしい」

国連のグテーレス事務総長は3日、声明を出し「報道されたシファ病院前の救急車の車列への攻撃は恐ろしいものだ。国際人道法は尊重されなければならない。民間人や人道支援にあたる人、医療従事者などは保護されなければならない。また民間人を人間の盾にしてはならない」と繰り返し非難しています。