海上自衛隊 セクハラ被害者の意向に反し同僚隊員と面会させる

海上自衛隊の部隊に勤務していた女性の隊員が去年、同僚の男性隊員からセクハラを受けたことをめぐり、報告を受けた幹部が被害の事実を上級部隊に報告しなかったうえ、女性の意向に反して男性と面会させ、謝罪を受けさせていたことがわかりました。女性はその後、依願退職し、防衛省は一連の対応は不適切だったとして関係者の処分を行うとしています。

防衛省によりますと、去年8月から12月ごろにかけて、広島県の呉地区の部隊に勤務していた女性の隊員が、同僚の男性隊員から抱きつかれたり、性的な発言をされたりするなどセクハラの被害を受けました。

この部隊のナンバー2にあたる幹部の1等海佐は去年12月、被害の報告を受け、部隊の当時のトップにも報告したということですが、上級部隊には報告せず、部隊内で調査を始めたということです。

調査で1等海佐は、女性隊員が男性隊員との面会を拒否していたにもかかわらず、同じ場で対面させて謝罪を受けさせたほか、その場で男性隊員を擁護するような発言も行ったということです。

女性隊員は、その後、セクハラ行為や部隊の対応について許せないという趣旨の話をし、依願退職したということです。

防衛省は、面会させたことや上級部隊への報告を怠ったのは不適切だったとして、1等海佐や男性隊員など、関係者の処分を行うとしています。

また、すでに定年退職している部隊の当時のトップについても調査し、必要な処置を行うとしています。

防衛省は、元陸上自衛官の五ノ井里奈さんに対する性暴力の問題を受けて、ハラスメントの実態を把握するため、去年、特別防衛監察を行い、1325件の被害の申し出がありましたが、今回の被害は含まれていないということです。

防衛省は「このような事案は決してあってはならないことで、ハラスメントを許容しない組織環境を構築するよう努力していきたい」とコメントしています。

木原防衛相「言語道断で 厳正に対処する」

木原防衛大臣は記者団に、「セクハラ行為が発生したことは誠に遺憾であるとともに、上司らは、被害者が加害男性に会うことを拒否していたにもかかわらず、直接謝罪させるなど、被害者の心情に寄り添うことなくこのような対応を行ったことは言語道断で、法令に基づき厳正に対処する」と述べました。

そのうえで、改めてハラスメントに対する厳正な措置を求める指示を、30日付けで出したことを明らかにし、すべての自衛隊員に徹底する考えを示しました。

酒井海上幕僚長「大変申し訳なく 責任を感じる」

海上自衛隊トップの酒井良 海上幕僚長は31日の記者会見で、「セクハラで深く苦痛を感じ、辞めざるをえないところまで追い込んでしまったことに対して海上幕僚長として大変申し訳なく責任を感じている。被害者の心情を考えた公明正大な調査をして厳正な処分を徹底していく」と述べました。