ガザ地区境界付近 待機のイスラエル軍用車両が移動 衛星画像

イスラエル軍がパレスチナのガザ地区で戦車などによる地上での軍事行動を拡大する中、イスラエルのネタニヤフ首相は「これは戦争の第2段階だ」と述べ、攻撃をさらに強化していく考えを示しました。

上空から撮影した衛星画像からはガザ地区との境界付近に待機していたイスラエル軍の軍用車両が移動していなくなっているのがわかり、地上作戦に投入された可能性があります。

イスラエル軍が戦車などによる地上での軍事行動を拡大する中、イスラエルのネタニヤフ首相は28日、記者会見で「昨夜、さらに多くの地上部隊がガザ地区に入った。これは戦争の第2段階だ」と述べ、ガザ地区への攻撃を強化する考えを示しました。

ネタニヤフ首相はこれが大規模な地上侵攻の始まりかどうかの明言は避けたものの、軍事作戦が新たな段階に入ったことを強調しました。

イスラエルとガザ地区の境界付近を上空から撮影した衛星画像では、今月25日には多くの軍用車両が待機していた一方で、今月28日には、その多くが移動して、いなくなっているのがわかります。

イスラエル軍は今月27日夜から戦車などによる地上での軍事行動を拡大していて軍用車両はこれに投入された可能性があります。

また、アメリカのCNNも28日「ガザ地区との境界に待機していた数百台の戦車や装甲車、それにブルドーザーがいなくなっている」と伝えています。

イスラエルとガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの衝突が始まってから3週間がたつ中でパレスチナ側の死者は7703人、イスラエル側でも少なくとも1400人が死亡しています。

ただ、ガザ地区では、電話などの連絡手段が途絶えた状況が続いているため被害の全容は把握できていません。

衛星画像には

人工衛星を運用するアメリカの企業、プラネット社が今月15日、ガザ地区の境界から北東に5キロ離れた場所を撮影した高い解像度の衛星画像には、200両以上の軍用車両が並んでいるのがわかります。

また、今月25日に同じ場所を撮影した画像は、解像度は下がっているものの、15日と同じ場所に黒い点が見られ、ほぼ同数の軍用車両がまだ待機していることがうかがえます。

ところが今月28日の画像には、黒い点がなくなっていて、待機していた軍用車両が確認できなくなっています。

イスラエル軍は今月27日夜から戦車などによる地上での軍事行動を拡大しています。

衛星画像を分析した、東京大学大学院の渡邉英徳教授は、「25日から28日の間に車両が移動したことがわかる。イスラエル軍がガザ地区にいよいよ進撃しようと考えるのが自然だと思う」と話していました。

軍事作戦 3つの段階とは

イスラエル軍がガザ地区に対して行っている今回の軍事作戦について、イスラエルのガラント国防相は今月20日、議会の外交と軍事に関する委員会に対し、3つの段階があると説明しています。

それによりますと第1段階はハマスのインフラの破壊で、地元メディアなどによりますと、これには空爆と地上作戦が含まれるということです。

第2段階は、残存する抵抗勢力を排除するための小規模な戦闘による強度の低い作戦だとしています。

そして第3段階はガザ地区でイスラエルが責任を持たずにいられるようにし、イスラエルのための新たな安全保障環境を確立することだとしています。