袴田巌さん審理終了 来年4月以降の可能性に「迅速審理を」

57年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判の初公判が27日、静岡地方裁判所で開かれました。すべての審理が終わるのは来年4月以降になる可能性があるということで、姉のひで子さんと弁護団は迅速な審理と早期の無罪判決を求めています。

57年前の1966年に、今の静岡市清水区で、みそ製造会社の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審は27日に静岡地方裁判所で始まりました。

袴田さんは「意思疎通ができない状況だ」として出廷が免除され、姉のひで子さん(90)が袴田さんに代わって、「弟 巌に代わりまして、無罪を主張いたします。巌に真の自由を与えてくださいますようお願い申し上げます」と訴えました。

冒頭陳述で検察は袴田さんの有罪を求める立証を行い、ことし3月に東京高等裁判所が再審を認めた決定の中で、ねつ造の疑いにまで言及した証拠の衣類を主な争点に、有罪か無罪かが改めて争われることになりました。

今後は過去の審理で扱われた証拠の取り調べや、双方が請求する専門家の証人尋問などが行われる見通しで、弁護団によりますと、すべての審理が終わるのは来年4月以降になる可能性があるということです。

死刑が確定した事件で再審が開かれるのは36年ぶり、戦後5例目で、過去の4例はいずれも無罪が確定しています。

ひで子さんは初公判のあとの会見で、「のんべんだらりとやっていて、検事の説明を聞いて、『これなら57年もかかるわけだ』と思いました。もっと早く進めてほしい」と訴えました。

弁護団の事務局長の小川秀世弁護士は「このままであれば明らかに無罪の方向になるわけで、検察は有罪立証を放棄すべきだった。だらだら今までと同じような主張をしていて、憤りを感じる」と述べ、迅速な審理と早期の無罪判決を求めました。