【26日詳細】イスラエル軍 “限定的な地上作戦実施”

パレスチナのガザ地区をめぐる情勢が緊迫する中、ヨルダン川西岸でも市民がイスラエル治安部隊などと衝突し、これまでに100人以上が死亡しています。

軍事衝突をめぐり国連の安全保障理事会では「戦闘の一時的な停止」などを求めるアメリカが提出した決議案の採決が行われましたが、ロシアと中国が拒否権を行使して否決される事態となっています。

26日の動きを随時更新でお伝えしています。

目次

《軍事的な動き》

米企業 戦闘起きる前後のガザ地区北部の衛星画像公開

アメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」はイスラエル軍が住民に退避するよう通告するとともに空爆を続けているガザ地区の北部について今回の戦闘が起きる前後の街の様子を比較した衛星画像を公開しました。

ことし5月時点

10月21日に撮影

このうち、ガザ地区北部のベイトハヌーンの画像はことし5月の時点では幾重もの細かい通りに住宅が密集していますが、今月21日に撮影されたものは住宅と通りの境目の見分けがつかない状態でイスラエル軍の空爆で街がめちゃめちゃに破壊されたことがうかがえます。

10月10日時点

10月21日時点

また、同じく北部のイズバト・ベイトハヌーンでは戦闘が始まった後の、今月10日の時点では建物や住宅への目立った被害は分かりませんが、21日になるとほとんどの建物が倒壊し、街ががれきと化していて激しい空爆の影響がうかがえます。

イスラエル軍 “地上作戦行い複数のハマス軍事施設破壊”

イスラエル軍は25日夜から朝にかけてガザ地区北部に侵入し、戦車などを使って限定的な地上作戦を行い、複数のハマスの軍事施設を破壊したと発表しました。

公開された暗視カメラによるとみられる白黒の映像には戦車などの軍用車両、少なくとも10台が進む様子や軍用のブルドーザーが地面をならす様子、境界線のフェンスの近くと見られる場所から戦車が砲撃し、煙があがる様子が映っています。

イスラエル軍は「次の戦闘の段階に向けた準備だ」として作戦終了後、すべての部隊がガザ地区から引き揚げたとしています。

ネタニヤフ首相は25日の演説でガザ地区への地上侵攻について「我々は準備しているが、いつ始めるかなど詳細を説明するつもりはない。タイミングは戦時内閣と軍の幹部たちと決定する」と述べ、改めて実施する構えを強調し、空爆に加えて今回のような限定的な地上作戦も行い、ハマスに揺さぶりをかけるねらいがあるものとみられます。

イスラエルメディア “多くの人質 数日以内に解放実現か”

イスラエルの有力メディア「ハーレツ」は25日、イスラエルなどの関係者の話として「多くの人質の解放が数日以内に実現するかもしれない」とした上で、交渉次第で、2日以内か、それよりも早く解放される可能性についても触れています。

イスラエルのネタニヤフ首相も25日夜に行った演説で「人質を家に帰すためにできる限りのことをする」と述べ人質の解放に向けて全力を尽くす考えを強調しました。

ハマスが拘束している人質についてイスラエル政府は25日、これまでにわかっている国籍の内訳を明らかにし、およそ220人の人質のうち、135人が外国国籍を持っているとしています。

すべて合わせると25の国籍でこのうち最も多いのがタイ国籍で54人、続いて、アルゼンチン国籍が15人、ドイツとアメリカ国籍がそれぞれ12人となっています。この中には2重国籍者も含まれているとみられています。

一方、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは25日、アメリカ政府がイスラエルに地上侵攻を遅らせるよう要望しているとした上で、その理由について中東に展開するアメリカ軍を守るための防空ミサイルシステムの配備や人質解放に向けた交渉に時間が必要なためなどと報じていて、人質の解放交渉が地上侵攻のタイミングにどのような影響を与えるかが焦点となっています。

ヨルダン川西岸 治安部隊との衝突で100人以上死亡

ヨルダン川西岸のベツレヘム中心部で25日にNHKが撮影した映像では、数百人の市民が街の中心部に集まり、空爆によってガザ地区で大勢の市民が亡くなり人道状況も悪化していることに抗議の声をあげています。

デモの参加者たちは「ガザの虐殺をやめろ」と書かれたポスターを掲げるなどして市街地を行進していました。

一部の参加者は、イスラエル側との間に設けられた検問所に向けて投石するなどしたため、イスラエルの治安部隊は催涙弾を発射して鎮圧していました。

デモの参加者は「ガザへの空爆や侵攻は許されるものではない」とか「いまこそパレスチナ人が耐えてきた苦しみを終わりにすべき時です」などと話していました。

パレスチナ保健省は、ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスによる衝突が始まった今月7日から25日までに、ヨルダン川西岸ではイスラエルの治安部隊などとの衝突で、パレスチナ人104人が死亡したと発表しています。

米有力紙 “イスラエルが米と地上侵攻を遅らせることで合意”

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは25日、アメリカとイスラエルの政府当局者の話として、イスラエルがアメリカからの要請に応じて、ガザ地区への地上侵攻を遅らせることで合意したと伝えました。

中東各国に駐留するアメリカ軍を守るための防空ミサイルシステムの配備を終えるまでだとしていて、配備は早ければ、今週後半までに、完了するとしています。

これに先立ち、アメリカのオースティン国防長官は21日、イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫の度合いを増す中、ハマスを支援するイランからの弾道ミサイルなどへの警戒を念頭に、中東に展開するアメリカ軍の部隊などを防衛するため、迎撃ミサイルシステム「THAAD」の配備と地対空ミサイルシステム「パトリオット」の追加配備を指示しました。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、イスラエルの地上侵攻が始まれば、この地域の部隊がさまざまな武装勢力から標的となることをアメリカ軍などが懸念しているとした上で、アメリカ国防総省は、イラクとシリア、クウェート、ヨルダン、サウジアラビア、そしてUAE=アラブ首長国連邦への配備を急いでいると伝えています。

《イスラエルの動きなど》

イスラエル軍報道官「ガザ地区拘束の人質 224人に 」

イスラエル軍の報道官は26日、ガザ地区で拘束されている人質の人数について前回の発表より2人多い、合わせて224人が確認されたと発表しました。

イスラエル ネタニヤフ首相 米バイデン大統領と電話会談

ネタニヤフ首相はアメリカのバイデン大統領と電話会談を行いました。

ホワイトハウスの25日の発表によると両者はこのなかで人質の解放に向けた取り組み状況や外国籍を持つ住民のガザ地区から脱出、それにガザ地区の民間人への人道支援などについて意見を交わしました。

また、バイデン大統領はネタニヤフ首相に対し、イスラエルには自国民を守るためにあらゆる権利があるとしつつも国際人道法を順守して行動する必要性を強調したほか、今回の危機が終わった後、イスラエルとパレスチナの恒久的な和平の道筋についても焦点をあてる重要性を指摘したということです。

イスラエル軍 “ガザ地区で限定的な地上作戦実施”

イスラエル軍は26日、SNSで「次の戦闘段階に備えて軍はガザ地区北部で作戦を行った。軍の戦車と兵士は多くのテロリストの拠点やインフラ設備、対戦車ミサイルの発射地点を攻撃した」としてガザ地区で限定的な地上作戦を実施したと明らかにしました。

SNSで公開された映像には、10台以上の戦車がフェンスを越えてガザ地区内に侵入し、砲弾を発射している様子などが写し出されています。

また別の映像ではイスラエル軍の作戦司令室が現場の兵士に対し、具体的な指示を出しています。

作戦司令室の担当者は「ゆっくりと進み、前に向かって撃て」とか「敵を見分けながら攻撃を続けろ」などと指示を出したり、現場から報告を受けて「よくやった」と述べたりしていました。

イスラエル軍 ハマスによる残虐行為だとする映像を公開

イスラエル軍は23日、各国の報道関係者100人以上をテルアビブ郊外の軍の施設に招いて今月7日のハマスによる大規模攻撃の様子を記録したとする映像を公開しました。

映像は、ハマスの戦闘員が体につけていた小型カメラや、イスラエル側の住民が運転する車に取り付けられていたドライブレコーダー、それに住宅の防犯カメラなどから集めたものだとしていて、43分にのぼっています。

このうち、道路を走行していた車のドライブレコーダーの映像では、道路沿いに自動小銃を持ったハマスとみられる戦闘員が待ち伏せしていて、次々に車をめがけて発砲してくる様子がうかがえます。

会場では、むごたらしい映像が流れるたびに、深いため息とともに「もうやめて」とか「神に許しを求めます」といった声が漏れていました。

映像の公開についてイスラエル軍のハガリ報道官は「ハマスによる人道に対する罪を知ってもらいたい」と趣旨を説明していました。

ネタニヤフ首相 地上侵攻「いつ始めるかなど言えない」

パレスチナのガザ地区をめぐる情勢が緊迫する中、イスラエルのネタニヤフ首相は、現地時間の25日午後8時過ぎに演説し、ガザ地区の住民に対して「私たちはハマスと戦っている。民間人を殺したりけがさせたりするつもりはない」と述べ、改めてガザ地区の南部に退避するよう警告しました。

そして地上侵攻については「われわれは準備しているが、いつ始めるかなど詳細は言えない。タイミングは戦時内閣と軍の幹部たちと決定する」と述べるにとどめました。

地上侵攻の可能性が高まるなか、ガザ地区ではイスラエル軍の空爆による死傷者が増え続けています。

地上侵攻の可能性が高まるなか、ガザ地区ではイスラエル軍の空爆による死傷者が増え続けています。

ガザ地区の保健当局は25日、イスラエル軍が退避先として通告し、ネタニヤフ首相が改めて退避を警告したガザ地区南部での死者が今週に入って全体の65%を占めていると発表しました。

さらにガザ地区では燃料不足によりUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関による支援活動が25日夜にも停止に追い込まれるおそれがあり、人道危機に拍車がかかることが懸念されます。

各国が医療機関など支援

ガザ地区で燃料不足などにより稼働できない医療機関が相次ぐ中、各国が支援に乗り出しています。

このうちフランスのマクロン大統領は25日の記者会見で、病院を支援するため、フランス海軍の艦船を派遣するほか、医療物資を積んだ航空機をエジプトに派遣することを明らかにしました。

フランス政府によりますと、派遣される艦船は、多くのベッドや手術室を備え、病院としての機能も持ち合わせているということです。

またイギリスも21トンの支援物資を送ることを決め、物資を乗せた飛行機が25日、エジプトに到着したということです。

このあと、トラックでガザ地区へ運ばれる予定で、クレバリー外相は25日、到着した航空機の写真とともに「人道支援物資は引き続き、最も必要な人たちに届く必要がある」とSNSに投稿しています。

国連職員これまでに38人死亡

パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は25日、ガザ地区で新たに職員3人の死亡が確認され、これまでの死者は合わせて38人にのぼると発表しました。

また、UNRWAが管理する150か所の施設には、合わせておよそ61万人が避難しているということです。

避難所は1か所当たり1500人から2000人を受け入れられる態勢が取られていますが、避難している人の数は、平均で定員の2.7倍となっていて、最も多い避難所では12倍にも上り、過密状態が深刻化しています。

このうち、南部ラファでおよそ4600人が避難している学校では、近くで攻撃があり、1人が死亡したほか、子ども9人を含む44人がけがをしたということです。

また、ガザ地区中部や南部にあるUNRWAの22の医療機関のうち稼働しているのは8か所だけで、それらの病院でも燃料不足のため、医療の提供が難しくなっているほか、医薬品の在庫もあと数日分しか残っていないということです。

また、呼吸器の疾患や、下痢の症状を訴える5歳未満の子どもが増えていて、避難している人々の健康状態の悪化が懸念されます。

家族を人質にとられたイスラエル人が会見

イスラム組織ハマスによって兄弟やいとこなどを人質にとられているイスラエル人4人が、フランス・パリで会見を開き、人質の解放に向けた協力を呼びかけました。

これは、フランスにあるユダヤ系の団体が主催しました。

このうち24歳の弟を人質にとられているシャニさん(25)は、ハマスの襲撃が始まった直後、ガザ地区近くのコンサート会場から逃げる弟から電話を受け、弟がつかまるまで数時間の間、励まし続けたということです。

シャニさんは、当時の電話の音声などを紹介したうえで「イスラエル人の人質2人も新たに解放されたことは私たちに希望を与えたが、すべての人質を返してほしい」と訴えました。

また38歳のいとこを人質にとられているオフィーアさん(24)は、フランスのマクロン大統領が24日にイスラエルを訪問し人質の解放を訴えたことに謝意を示したうえで「これは国際的な問題でいますぐ行動が必要だ」と述べ解放に向けた各国の協力や、ICRC=赤十字国際委員会による人質の状況の調査を求めました。

主催者によりますと、ほかの人質の家族も今週、スペインやベルギーなどを訪れ、解放に向けた協力を呼びかけるということです。

避難民にボランティアが支援物資届ける

イスラエル最大の商業都市テルアビブでは、ハマスからのロケット弾攻撃によってガザ地区との境界付近などから避難を余儀なくされているイスラエルの人たちに、支援物資を届ける活動が行われています。

これは地元のNGOが企画したもので、テルアビブ中心部の施設で25日、ボランティアの人たちが市民から寄せられた食料や衣類、それに日用品などを振り分ける作業を行っていました。

NGOによりますと、およそ1万5000人のボランティアが支援物資を届けたり、精神的なケアをしたりする活動にあたっているということです。

支援の対象はガザ地区との境界付近やイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘が続くレバノン国境周辺から避難を余儀なくされた人々でイスラエルの主要メディアはその数はおよそ20万人にのぼると伝えています。

活動に参加した40代の男性は「物資を必要としている人が少しでも希望を感じ、気にかけている人たちがいることを知ってほしいです」と話していました。

また、活動を企画したNGOのギリ・ブレナーさんは「多くの家族が支援を必要としているいまこそ、団結しなければいけません」と話していました。

《外交関連》

中国外務省「国連安保理はアラブ諸国の立場と声に耳を」

国連の安全保障理事会でイスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突をめぐり、アメリカやロシアが提出した決議案がいずれも否決されたことについて、中国外務省の毛寧報道官は26日の記者会見で「中国側の立場は事実と正義に基づいており、国際社会、特にアラブ諸国の強い声に応えている」と述べ、アメリカの決議案に対して拒否権を行使した中国の立場を強調しました。

その上で「安全保障理事会の行動と決定は歴史と事実を尊重しアラブ諸国の立場と声に耳を傾けなければならない」と述べ、アラブ諸国側に配慮する姿勢を示しました。

中国としてはロシアと足並みをそろえ、対立するアメリカと一線を画して中東問題に取り組むことで、存在感を高めたい思惑があるとみられます。

EU首脳会議 ガザ地区の人道状況協議の見通し

EUの首脳会議は26日からの2日間、ベルギーの首都ブリュッセルで開かれ、厳しさを増すガザ地区の人道状況が協議される見通しです。

ガザ地区への人道支援をめぐっては、国連が、イスラエルとイスラム組織ハマスの双方に停戦を呼びかけています。

しかし、EU加盟国の中にはドイツ政府の報道官が「ハマスがロケット攻撃を続ける中、停戦が可能だとは思えない」と指摘するなど、イスラエルが自衛する権利を否定しかねないとして停戦を呼びかけることに慎重な立場を示す国も少なくありません。

このため停戦ではなく、人道支援物資の搬入などの間だけ、戦闘の一時的な停止を呼びかけることで調整を続けています。

EU各国は多くの市民が犠牲になる中でガザ地区への人道支援が重要だという点では一致しており、今回の首脳会議で足並みをそろえられるかが焦点です。

一方、ベルギーではイスラエル・パレスチナ情勢を受けてテロへの警戒を強めていて、会場周辺で警察官による警備が強化される中、首脳会議が開かれることになります。

「戦闘の一時的な停止」決議案 ロシアと中国が拒否権行使で否決

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突をめぐり、国連の安全保障理事会では25日午後、日本時間の26日朝、ガザ地区への人道支援を行うための「戦闘の一時的な停止」などを求めるアメリカが提出した決議案の採決が行われ、15か国のうち10か国が賛成しましたが、ロシアと中国が拒否権を行使して否決されました。

これに続いて「即時停戦」などを求めるロシアの決議案は採択に必要な賛成が得られず、いずれも否決される事態となりました。

バイデン大統領 “過激な入植者がパレスチナ住民を攻撃”と批判

アメリカのバイデン大統領は25日、オーストラリアのアルバニージー首相との首脳会談のあとに行われた共同記者会見で、イスラエルが自国を防衛するために必要な支援をすると述べる一方で「困難であろうともできるかぎりのことをして罪のない市民を守らなければならない」と述べて、ガザ地区の住民の犠牲を最小限にすべきだと改めて強調しました。

さらに「ヨルダン川西岸において過激な入植者がパレスチナの住民を攻撃しており、火に油を注ぐような状況に強く懸念している」と述べて批判しました。

プーチン大統領 アメリカを念頭に批判を展開

ロシアのプーチン大統領は25日、首都モスクワで開いた、国内の宗教指導者たちとの会合でイスラエル・パレスチナ情勢について言及し「今月7日のテロで殺されたイスラエル人などの遺族に哀悼の意を表したい」と述べた一方で「罪のない人々が他者による犯罪の責任を負うべきでない」と述べ、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻の可能性に懸念を示しました。

そのうえで、プーチン大統領はアメリカを念頭に「特定の勢力がさらなる事態の悪化を誘発し、利己的な利益のために多くの国や民族を巻き込み、中東地域を越えて混乱と憎悪の波を起こそうとしている」などと、批判を展開しました。

また「世界中でナショナリズムや宗教的な不寛容をあおる西側勢力は、ロシアに対しても敵対的な目標を追求している」などと主張し、みずから始めたウクライナへの軍事侵攻について欧米の脅威から国を守るためだと改めて正当化した形です。

国連報道官「ビザ発給は協議中」

イスラエルのエルダン国連大使が国連職員へのビザの発給を今後、拒否する考えを示したと伝えられていることについて、国連のデュジャリック報道官は25日、定例の記者会見で、これまでのところ現地で活動する国連職員などの滞在資格に変化があったという情報はないとした上で「ビザについてはイスラエル当局と通常のルートで協議中だ」と述べるにとどめました。

また、イスラエル側がグテーレス事務総長の辞任を求めていることについて問われると「コメントすることはない」と述べました。

国連事務総長 発言が誤解されていると反論

国連のグテーレス事務総長は、自身の発言にイスラエルが強く反発していることについて25日、ニューヨークの国連本部で急きょ会見を開き、発言が誤解されていると反論しました。

グテーレス事務総長は会見で、安保理での発言ではハマスを明確に非難した上で一般市民を殺害したり誘拐したりすることは決して正当化できないと指摘したと説明し「ハマスのテロ行為を正当化しているかのような誤解があることにショックを受けている。それは間違いであり正反対だ」と反論しました。

イスラエルと国連の関係悪化が長引けばすでに滞っているガザ地区への人道支援がこれまで以上に停滞する事態も予想されます。

イエメン反政府勢力 ハマスによる攻撃に加わる声明

緊迫するガザ地区情勢をめぐり、イランの支援を受けるイエメンの反政府勢力は25日、声明を出し、ハマスによる攻撃に加わる考えを示しました。

イランメディアが25日、公開した動画の中で、イエメンの反政府勢力フーシ派の指導者、アブドルマリク・フーシ氏は声明を読み上げ「われわれは多くの戦士を動員し、敵であるイスラエルに対するパレスチナの人々の聖戦に加わる用意ができている」と述べ、イスラエルをけん制しました。

アメリカ国防総省は今月19日、この勢力がイスラエルに向けて発射した可能性がある巡航ミサイルや無人機を、撃墜したと発表していますが、声明ではこのミサイルなどによる攻撃については言及しませんでした。

世界各国でサイバー攻撃 「ハクティビスト」関与か

イスラエルとイスラム組織ハマスとの軍事衝突が続く中、世界各国でサイバー攻撃も相次いでいます。

政治的な主張を目的にサイバー攻撃を仕掛ける「ハクティビスト」と呼ばれるハッカー集団が関与しているとみられます。

このうち、東京 目黒区のペットサロンでは、ホームページが何者かによって改ざんされているのが25日午後に見つかりました。

サイトには、英語で「われわれは常にパレスチナのイスラム教徒の同胞に寄り添っている」などといった主張が書かれていました。

一方、「IRoX Team」と名乗るハッカー集団が今回のサイトについてハッキングを行ったとSNS上で主張しています。

店のオーナーの50代の男性は「イスラエルのニュースは毎日、見ていましたが、まさか自分に降り注ぐとはという感じで、びっくりしています。自分ではどうすることもできないので専門の人にきいてみようかなと思っています。迷惑なのでやめてほしい」と話していました。