富山 住宅敷地内で男性がクマに襲われ搬送 現場でクマ1頭駆除

23日午後3時前、富山市安養寺の住宅の敷地内の納屋で72歳の男性がクマに襲われて顔や足などに大けがをしました。

現場では23日夕方、大人のクマ1頭が駆除されましたが、出没が相次いでいることから警察などが引き続き警戒を呼びかけています。

警察や消防などによりますと、23日午後2時50分ごろ、富山市安養寺の住宅の敷地内の納屋で、この家を訪れていた72歳の男性がクマに襲われたと、この家に住む親類から警察に通報がありました。

男性は病院に運ばれましたが、顔や左足、両手などをひっかかれたりかまれたりして大けがをしたということです。

そして23日午後4時半ごろ、住宅の敷地内にいた、おとなのクマ1頭が駆除されたということです。

現場周辺では出没情報が相次いでいることから警察などが引き続き警戒を呼びかけているほか、近くの小学校では保護者による送迎が行われていました。

この住宅の隣では、今月20日に住民から「自宅の庭にクマがいる」と通報があり、猟友会が捕獲用のおりを仕掛けるなど警戒を続けていました。

富山県によりますと、県内でクマによる人への被害はことしは今回で5人目で、このうち今月17日には富山市江本で79歳の女性が死亡しました。

今回、駆除されたクマの足跡は女性が亡くなった現場にあった足跡と形や大きさが似ていることから、県では同じクマの可能性があるとしています。

今回の現場は、女性が亡くなった場所から2.5キロほど離れた、住宅や田んぼが点在する地域で、西に250メートル余り離れた場所には熊野川が流れています。

松野官房長官「自治体と連携し被害防止進める」

松野官房長官は午後の記者会見で「政府としては、ことし9月に開催した関係省庁連絡会議で、ことしの秋はクマの出没に十分な警戒が必要だと確認し、自治体に注意喚起を行った。また環境省ではマニュアルを策定し、広報体制の整備や住民への注意喚起といった自治体の取り組みを促すとともに連絡体制の構築などを推進している。引き続き、自治体と連携して関係省庁が一丸となって被害防止に向けた取り組みを進めていく」と述べました。

餌の不作で冬眠前に人里に出没

富山県によりますと、県内ではクマの餌となるブナの実などが不作となり、クマが冬眠を前に餌を求めて人里に出没するケースが相次いでいます。

10月に入ってから23日、午後4時までのクマの出没件数は165件で、すでに去年10月の1か月分の7.5倍に上っています。