ウクライナ情勢 南部の渡河作戦の行方が焦点の一つに

領土の奪還を目指して反転攻勢を続けるウクライナ軍は、南部のドニプロ川を渡ってロシア側が占領を続ける東岸の地域でロシア軍との激しい戦闘を続けているもようで、その攻防の行方が焦点の一つになっています。

ウクライナ軍は、南部ヘルソン州を流れるドニプロ川を渡ってロシア側が占領を続ける東岸の地域で規模の大きな作戦を展開し、一部の集落に部隊を前進させたという見方も出ています。

ロシア国防省は22日の発表で、川を渡ろうとするウクライナ軍の部隊の動きを阻止したと主張するなど激しい戦闘が続いているもようで、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアに近い、この地域での攻防の行方が焦点の一つになっています。

防衛省防衛研究所の兵頭慎治研究幹事は「反転攻勢の中心となっている南部ザポリージャ州からロシア軍の兵力を分散させるねらいがある。ロシア側もある程度、深刻に受け止めているとみられる」と指摘し、ウクライナ軍の作戦は今後も続いていくという見方を示しました。

一方、東部ドネツク州ではウクライナ側の拠点アウディーイウカの周辺でロシア軍が攻撃を強めているとみられますが、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシア側の人員や装備に多大な損失が出ている可能性を指摘しています。

イギリス国防省も22日、「ウクライナ国防省によるとアウディーイウカでの戦闘でロシア軍の犠牲者は90%増加した」としていて、ロシア軍が兵力の損失をいとわず攻撃を繰り返していることがうかがえます。