ラグビーW杯 南アフリカ 決勝進出 イングランドに逆転勝ち

ラグビーワールドカップフランス大会は21日、準決勝が行われ、連覇をねらう南アフリカが終盤、粘りを見せてイングランドに16対15で逆転勝ちし、2大会連続で決勝に進みました。

日本時間29日に行われる決勝は、南アフリカとニュージーランドの対戦となり、ともに史上最多となる4回目の優勝を目指します。

我慢比べの試合 南アフリカがスクラムで流れつかみ逆転勝ち

今大会の準決勝2試合目はサンドニで行われ、世界ランキング1位の南アフリカと5位のイングランドが対戦し、前回の日本大会の決勝と同じ顔合わせとなりました。

イングランド代表 オーウェン・ファレル主将

前半は前回大会、準優勝のイングランドが主導権を握り、キャプテンのオーウェン・ファレル選手が4本のペナルティーゴールを決め、12対6とリードしました。

イングランド代表 ファレル主将がドロップゴール

イングランドは後半13分にもファレル選手がドロップゴールを決め、15対6とリードを広げました。

これに対し、連覇をねらう南アフリカは後半29分、ラインアウトから素早く展開し、最後は途中出場のRG・スナイマン選手が、この試合で両チーム通じ初めてのトライを決め、このあとのゴールキックも成功し、13対15と2点差に詰め寄りました。

さらに、南アフリカは終了間際の後半38分、スクラムでプレッシャーをかけ、イングランドの反則を誘い、ペナルティーゴールを選択するとハンドレ・ポラード選手が距離のあるキックを鮮やかに決めて逆転しました。

南アフリカ代表 ハンドレ・ポラード選手

南アフリカは終盤、粘りの逆転勝ちでイングランドに16対15で勝ち、2大会連続4回目の決勝に進みました。

日本時間29日に行われる決勝は、南アフリカとニュージーランドの対戦となり、ともに史上最多となる4回目の優勝を目指します。

敗れたイングランドは前回大会の雪辱を果たすことはできず、2大会連続の決勝進出はなりませんでした。

《南アフリカ代表 HC・選手談話》

ニーナバーHC「諦めなかったことが勝利に」

激戦の末、決勝進出を決めた南アフリカのジャック・ニーナバーヘッドコーチは「イングランドは戦術面で優れていて、たくさんのプレッシャーをかけてきた。とにかく選手全員が最後まで諦めなかったことが勝利につながった」と振り返りました。

そして、史上最多4回目の優勝をかけて戦うことになるニュージーランドとの決勝について「ニュージーランドもイングランドと同じような戦術でくるかもしれないが、選手たちはいつも自分たちで勝つための手段を見つけてくれる」と話し、選手に全幅の信頼を寄せていました。

シヤ・コリシ主将「イングランドの作戦を打ち破って勝てた」

キャプテンのシヤ・コリシ選手は「イングランドは世界有数のチームで、きょうもすばらしい戦術で戦ってきたが、私たちがその作戦を打ち破って勝つことができた」と話していました。

《イングランド代表 HC・選手談話》

ボーズウィックHC「選手を誇りに思う」

イングランドのスティーブ・ボーズウィックヘッドコーチは試合後の会見で、「結果にはがっかりしているが、選手たちを誇りに思うし、とても内容のある濃い試合だった」と試合を振り返りました。

そのうえで「25歳以下の選手が7人もおり、準決勝に出たチームの中では一番若いチームだったが、ベテランとうまく混じり合ったチームだった。とにかく勝つ可能性があったので、本当にがっかりしているが、南アフリカは世界チャンピオンで、多くの経験を持っているチームで、本当の実力を試す試合となった」と話していました。

オーウェン・ファレル主将「南アフリカがすばらしいチーム」

この試合、イングランドのすべての得点をあげたキャプテンのオーウェン・ファレル選手は「結果には失望しているが、それと同時に一緒にやってきた仲間をとても誇りに思っている。やるべきことはやったが、負けるべくして負けた試合だった。ベストを尽くしたが、南アフリカがすばらしいチームだった」と話していました。

【解説】南アフリカ スクラムが逆転勝利に導く

試合終了まで残り2分でイングランドに逆転し、決勝進出を決めた南アフリカ。逆転勝利を導いたのは強じんなフィジカルを誇るフォワード陣のスクラムでした。

強力なスクラムで流れを引き寄せる

南アフリカは試合開始直後から、得意のキックと気迫のこもったタックルでプレッシャーをかけてくるイングランドに試合の主導権を奪われ、前半を6対12とリードされて折り返しました。

しかし、後半になると続々と選手交代を行い、スクラムの強いプロップのオックス・ヌチェ選手などを投入。残り10分余りとなり、スクラムでイングランドにプレッシャーをかけ、反則を引き出すと流れが一気に変わりました。

ここからラインアウトを選び、両チーム通じて初めてのトライを奪うなど2点差に迫りました。

ハンドレ・ポラード選手

そして、試合終了間際、南アフリカボールのスクラムでまたしてもイングランドが反則。ハンドレ・ポラード選手がおよそ50メートルの地点からペナルティーゴールを決めて、逆転しました。

この試合、南アフリカのスクラムの成功率は87.5%と、イングランドの42.9%を大きく上回りました。

スクラムで相手の反則を誘う

試合後、南アフリカのジャック・ニーナバーヘッドコーチは「スクラムで相手に勝つ必要があった。スクラムで勝った瞬間はすばらしかったし、われわれはこういう瞬間のためにラグビーをやっている」と選手たちをたたえました。

スクラムで逆転勝利を呼び込んだ南アフリカ。決勝では互いに史上最多となる4回目の優勝をかけて、ニュージーランドと対戦します。

【解説】イングランド 雪辱果たせず

雨が降りしきる中、イングランドは前回大会の決勝で敗れた南アフリカに対し、1点差に泣き、雪辱を果たすことはできませんでした。

イングランド代表 オーウェン・ファレル主将

イングランドは試合開始直後から、得意のキックを存分にいかして南アフリカにプレッシャーをかけ続けました。

キックの回数は41回、キックで稼いだ距離は976メートルと、いずれも南アフリカを大きく上回りました。

また、キャプテンで司令塔のオーウェン・ファレル選手はハイパントと呼ばれる弾道の高いキックを蹴り続け、攻撃の起点になったほか、プレースキッカーとしても4本のペナルティーゴールをすべて成功させ、さらに後半13分には、イングランドのお家芸とも言えるドロップゴールを決めるなど、イングランドの得点は、すべてファレル選手の右足から生まれました。

しかし、残り10分余りとなり南アフリカにトライを奪われると、試合終了間際にはスクラムで痛恨の反則。南アフリカのハンドレ・ポラード選手にハーフウェーライン付近からの距離の長いペナルティーゴールを決められ、最後の最後に逆転されました。

試合後、キャプテンのファレル選手は「結果には失望しているが、負けるべくして負けた」と多くは語りませんでした。

今大会、伝統のキックでベスト4まで勝ち上がったイングランドでしたが、南アフリカに雪辱を果たすことはできませんでした。

◆決勝・3位決定戦の日程は◆

【3位決定戦】
10月28日(土)4:00~
(日本時間)
アルゼンチン×イングランド

NHK総合・BS4Kで中継、NHKプラスでも配信

【決勝】
10月29日(日)4:00~(日本時間)
ニュージーランド×南アフリカ