ガザ地区 人道支援物資搬入 21日以降か イスラエルと交渉続く

イスラム組織ハマスの攻撃に対するイスラエルの軍事作戦でガザ地区の人道状況が日々悪化するなか、国連の担当者は人道支援物資の搬入について、発電機に使用する燃料の搬入などをめぐりイスラエル側と交渉が続いているとして搬入の開始は21日以降になるという見通しを示しました。

イスラエル軍によるガザ地区への空爆が続くなか、今月7日からの一連の衝突による死者はイスラエル側で少なくとも1400人、ガザ地区では少なくとも4137人にのぼり双方の死者は5500人を超えています。

ガザ地区では水や食料などの不足で人道状況が日々悪化する一方、エジプト側からの人道支援物資の搬入はいまも実現していません。

OCHA=国連人道問題調整事務所の広報官は20日、スイスで開いた記者会見で、人道支援物資の搬入についてイスラエルやエジプトなどとの交渉が続いているとしたうえで、搬入が始まるのは21日以降になるという見通しを示しました。

交渉では国連が支援物資の一環として発電機などに使用する燃料の搬入を求めているのに対し、イスラエル側は認めない姿勢を示しているということで、搬入する支援物資の量や条件などについて、交渉が続いているとみられます。

一方、イスラエルのガラント国防相は20日、議会の外交防衛委員会の議員への説明のなかで、ガザ地区への軍事作戦の目的について3つの段階があると説明しました。

まずはハマスを壊滅させる段階、そして残りの抵抗勢力を排除する段階、さらに新たな安全保障上の現実をうち立てる段階があるとしています。

ガラント氏は第3の段階では「ガザ地区での生活についてイスラエルは責任を負わなくなる」としていますが、具体的に何を意味するかは明らかにしていません。

イスラエルは近くガザ地区への地上侵攻に乗り出す構えを崩しておらず、ハマスの壊滅だけでなくイスラエルへの脅威を徹底して排除する姿勢を示したものといえます。

米バイデン大統領 物資搬入「24時間から48時間以内に」

アメリカのバイデン大統領は20日、ホワイトハウスでガザ地区への人道支援物資の搬入について「イスラエル側とエジプトのシシ大統領から確約を得ている。道路を舗装し直さなければならず、非常にひどい状態だ。これから24時間から48時間以内に最初の20台のトラックが通過するだろう」と述べました。

UNRWA「早期の人道支援物資の搬入が必要」

パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のジュリエット・トゥマ広報部長がNHKのインタビューに応じ、ガザ地区への早期の人道支援物資の搬入が必要だと訴えました。

このなかでトゥマ広報部長は「ガザ地区の状況は悲劇だ。UNRWAの施設に少なくとも50万人が身を寄せているが、われわれの学校も被害を受け、16人のスタッフも殺された。もはや安全な場所はない」と厳しい現状を明かしました。

また、エジプト側からの人道支援物資の搬入が始まっていないことについては「戦闘が起きる前からガザ地区は援助に頼ってきたが、ほぼ2週間、支援物資が入っておらず、まもなく時間切れだ」と述べ、一刻も早い支援物資の搬入が必要だと強調しました。

イスラエル軍が近く地上侵攻に乗り出すとの見方が出ていることについては「私たちは即時の停戦を求めている。とても多くの命が失われた。いまこそ停戦のときだ」と訴えました。