“子どもの放置禁止” 条例改正案の撤回を承認 埼玉県議会

埼玉県の自民党県議団が提出した、子どもの放置をめぐる虐待禁止条例の一部改正案は批判が相次いだことなどから、13日開かれた埼玉県議会で撤回の手続きがとられ、承認されました。

虐待禁止条例の一部改正案は小学3年生以下の子どもを自宅に残したまま保護者が外出するのを禁止することなどが盛り込まれ、埼玉県議会の最大会派自民党県議団が今月4日に県議会に提出しました。

13日の議会運営委員会で自民党県議団の中屋敷慎一幹事長は「県民などから数多くのご意見をいただいた。条例が運用されるにあたっては、その趣旨が十分に理解され、社会に広く受け入れられることが必要だ」として、改正案を撤回する理由を説明しました。

これに対し、ほかの会派の議員からは、撤回には同意するものの、「拙速な条例審議のあり方を反省すべきだ」という声が上がりました。

このあと開かれた県議会の本会議では、傍聴席から「県民の声を聴け」といった批判の声が上がるなか、議長が自民党県議団から改正案を撤回する請求があったことを説明し、撤回が承認されました。

子育て中の母親など 10万超の反対署名と提言 自民に手渡す

この改正案について、反対する署名活動を行ってきた子育て中の母親と市民団体は県議会を傍聴したあと、自民党県議団に10万を超える反対の署名とそれを踏まえた提言を手渡しました。

署名は埼玉県に住む自営業、野沢ココさんが10月6日夕方からネット上で呼びかけて広がり、署名で寄せられた声を踏まえて作られた提言と一緒に手渡されました。

提言では
▽共働きなどの家庭の小学生を放課後に預かる「学童保育」の待機児童を解消することや
▽通学区域内に1つ以上、子どもを見守る大人が常駐する遊び場や居場所の設置などを求めています。

野沢さんは「改正案は取り下げられましたが、これを機により住みやすい環境の整った県にしてもらいたい」と要望しました。

これに対して自民党県議団の田村琢実 団長は「県民の声を反映した施策を行っていきたい」と話していました。