安倍元首相銃撃 山上被告の公判前整理手続き始まる 奈良地裁

去年7月、奈良市で安倍元総理大臣が銃撃された事件で、殺人などの罪で起訴された山上徹也被告の裁判を前に、証拠や争点などを絞り込む「公判前整理手続き」が13日、初めて行われました。被告本人は出席せず、証拠に関するやり取りなどが行われたということです。

去年7月、奈良市で安倍元総理大臣が銃撃された事件では、無職の山上徹也被告(43)が殺人などの罪で起訴されています。

この事件は裁判員裁判で審理されるとみられていて、13日は裁判を前に、証拠や争点などを絞り込む「公判前整理手続き」が奈良地方裁判所で初めて行われました。

弁護団によりますと、手続きは午前10時ごろから20分ほどで終わり、裁判所と検察、弁護士の三者で証拠に関するやり取りなどが行われたということです。

山上被告は出席しませんでした。

手続きは今後も行われ、審理の日程や内容などが決められますが、裁判が開かれるのは来年以降になる見通しだということです。

山上被告は捜査段階の調べに対し、母親が多額の献金をしていた旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたなどと供述していたということで、裁判では被告の境遇などの情状面を踏まえた刑の重さなどが争点になるとみられます。

弁護団「被告は旧統一教会解散命令請求に関心持っている」

山上徹也被告の公判前整理手続きのあと、弁護団の1人、藤本卓司弁護士が報道陣の取材に応じ、旧統一教会に対する解散命令の請求について、「山上被告は新聞報道に目を通しているので動きについては把握している。当然、関心を持っている」と述べました。

弁護団が被告と最後に接見したのは先週末だということですが、具体的にどのような話をしているかについては「ここでは明らかにすることはできない」と述べるにとどまりました。

公判前整理手続き 6月は不審物騒ぎで中止も

山上徹也被告の裁判に向けた公判前整理手続きは当初、ことし6月12日に初めて行われる予定でした。

当日は被告本人が出席する意向を示していたことから、奈良地方裁判所は正面入り口にゲート式の金属探知機を設置したほか、警察も周辺で警戒にあたりました。

しかし、手続きが始まる前に不審な段ボール箱が裁判所に届き、金属探知機でも反応があったため、警察の爆発物処理班が出動する騒ぎとなりました。

警察が調べた結果、段ボール箱の中身は被告の刑を軽くするよう求める署名でしたが、この騒ぎの影響で手続きは急きょ、中止となりました。

弁護団によりますと、被告はこの時、「爆発物でなくてよかった」という趣旨の話をしたうえで、「自分が出席することでこのような騒ぎが起きた。手続きに出席するかどうかはよく考えたい」などと話していたということです。

その後、改めて日程を調整した結果、13日、手続きが行われることになり、裁判所は6月の時と同じように、人の出入りを正面の1か所に限定したほか、正面入り口に金属探知機を設置して一人一人の荷物をチェックしました。

また、被告本人は13日は出席せず、裁判所やその周辺で目立った混乱などはありませんでした。