IAEAが福島第一原発近くの海水などサンプル採取へ 中国も参加

IAEA=国際原子力機関は東京電力福島第一原発の近くで海水などのサンプルを採取するため、来週から専門家らが日本を訪問すると発表しました。福島第一原発にたまる処理水の放出を強く非難している中国の専門家も参加するということです。

IAEAは10日、声明を発表し、今月16日から23日までの日程で日本を訪問し、福島第一原発の近くの海域で海水や堆積物、それに魚のサンプルを採取すると発表しました。

訪問するメンバーには、IAEAのスタッフのほか、カナダと中国、それに韓国の専門家も含まれるということです。

採取されたサンプルは去年のサンプルと比較され、ことし8月に処理水の放出が始まって以降、海洋の放射性物質の濃度などに変化がないかどうかを分析するとしています。

処理水の放出をめぐっては、先月開かれたIAEAの年次総会で中国の代表が処理水を「核汚染水」と呼んだうえで「『汚染水』の海洋放出は前例がなく、海洋や生態環境への影響は不確実性が極めて高い」と日本を強く非難しました。

そのうえで「日本が信頼できる科学的な説明を行っていないことを考慮し、IAEAは長期的かつ効果的な国際モニタリングメカニズムを確立しなければならない」などと主張しています。

中国外務省 汪報道官「メカニズムの構成には不十分」

IAEAが東京電力福島第一原発の近くで海水などのサンプルを採取するため中国の専門家らが日本を訪問すると発表したことについて、中国外務省の汪文斌報道官は11日の記者会見で、IAEA事務局が日本だけと調整して実施するものだとしたうえで「利害関係国が参加する長期的かつ効果的な国際モニタリングメカニズムを構成するには不十分だ」と主張しました。

そのうえで「中国は、日本が国際社会の懸念に応え、真剣な態度で長期的かつ効果的な国際モニタリングメカニズムを確立するよう求める」と述べました。