ウクライナ東部で攻撃相次ぐ 子ども含む50人以上が犠牲に

ウクライナ東部のハルキウ州でロシア軍による攻撃が相次ぎ、5日と6日の2日間で子どもを含む50人以上が犠牲となりました。

ロシア軍がこの地域への攻撃を強めているのは、ウクライナ側を、反転攻勢の前線の南部などから注意をそらす意図があるという見方も出ています。

ウクライナ軍は7日、東部ドネツク州や南部ザポリージャ州で反転攻勢を続け、部分的に成功を収めていると発表しました。

一方、ロシア軍はこのところ連日のように、ウクライナ東部ハルキウ州へミサイルなどによる攻撃を行い、市民の犠牲が相次いでいます。

地元当局などによりますと、5日、ハルキウ州のクピヤンシク近郊の集落にあるカフェが攻撃され、少なくとも52人が死亡したほか、6日にはウクライナ第2の都市ハルキウへの相次ぐ砲撃であわせて88棟の建物が被害を受け、10歳の子どもを含む2人が死亡したということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日新たに公開したビデオ演説で、「ロシアによるテロだ」と改めて非難したうえで、「ロシアのテロに対するわれわれの勝利は、ウクライナの人々のように、悪や憎悪を打ち負かさねばならないと信じる世界のすべての人々にとっての勝利だ」と述べ、徹底抗戦を続ける姿勢を強調しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は6日の分析で、「ロシア軍がクピヤンシク近郊で攻撃を強めた」と指摘したうえで、「南部の前線などからウクライナ側の注意をそらすことを意図している可能性が高い」という見方を示しています。

攻撃があった集落の様子は

ロイター通信やAP通信は、5日のミサイル攻撃で50人以上が亡くなった、ウクライナ東部ハルキウ州クピヤンシク近郊の集落の様子を詳しく伝えています。

それによりますと、集落では、戦地で亡くなり故郷に遺体が埋葬されることになった兵士を追悼するため、数十人がカフェに集まっていたところに攻撃があったということです。

この兵士の妻や子どもなども犠牲になったほか、300人ほどが暮らす小さな集落では、ほとんどの住民が家族や親族などを亡くしたとみられるということです。

ロイター通信などの取材に応じた男性は、追悼のため料理をしていた娘や「5分だけ親友を弔いに行く」と話していた義理の息子、それに親族や友人も亡くしたということです。

男性は「私が死ねばよかった」と涙を拭い、10代の孫3人が残されたとして「これからどうしたらいいのか」と途方に暮れていました。

AP通信によりますと、住民たちは、この集落には軍事施設などはなく、カフェに集まっていたのも一般の市民だけだったと話しているということです。

アメリカのCNNは今回の攻撃について、一度の攻撃の死者としては去年4月、60人以上が死亡した東部ドネツク州クラマトルシクの鉄道駅への攻撃以降、もっとも多い惨事になったと伝えています。