中国 国慶節など8日間の大型連休が始まる 20億人余りが移動か

中国では建国記念日にあたる「国慶節」などの大型連休が29日から始まり、のべ20億人余りが移動するとみられます。

中国では29日から日本の十五夜にあたる「中秋節」と、建国記念日にあたる「国慶節」にあわせた8日間の大型連休が始まります。

このうち、南部・広東省広州にある空港では28日、帰省したり、旅行に出発したりする人たちで混雑していました。

中国政府は、連休中、のべ20億5000万人が公共交通機関や車などで移動すると予測していて、1日あたりではのべ2億5700万人と、去年の同じ時期より6割近く増える見通しだということです。

ことしは「ゼロコロナ」政策が終了してから初めての「国慶節」の連休とあって、外国を旅行する人も増える見込みです。

このうち、日本への旅行については、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の放出を受け、団体旅行のキャンセルが出ているという指摘がある一方、個人旅行客の人気が高く、影響は限定的ではないかという見方も出ています。

東京や京都を訪れるため、日本行きのフライトに乗る予定だという女性は「以前はPCR検査が必要でしたが、今は隔離もなくなって、とても便利になりました。温泉や観光を楽しみたいです」と話していました。

北京でも観光客の姿多数

首都・北京では28日、一足早く旅行を楽しむ観光客の姿が多く見られました。

このうち、北京中心部にある故宮の北側にある湖やその周辺では、訪れた観光客がボートをこいだり、観光用の人力の三輪車に乗ったりして楽しんでいました。

天津から訪れた女性は「コロナ禍の3年は封鎖ばかりで外出できないし、外出してもPCR検査などで不便でした。今は制限もなくなり、行きたいところに行けます」と話していました。

また、東部の浙江省杭州から親子連れで訪れた女性は「ことしの連休はいつもより長いので、前半は北京で過ごし、後半は地元に戻って開催中のアジア大会を見に行きます」と話していました。

タイ 25日から観光ビザを期間限定で免除

タイ政府は中国の国慶節などの大型連休に合わせて、中国人旅行者を呼び込もうと観光ビザを免除する取り組みを始めました。

この取り組みは、タイ政府が今月25日から来年2月末までの期間限定で導入しました。

タイを観光目的で訪れる中国人旅行者は、これまでは手数料として2000バーツ、日本円にしておよそ8000円を支払って観光ビザを取得する必要がありましたが、これが免除されます。

また、滞在できる期間も従来の15日間から30日間に拡大されます。

免除が始まった初日の今月25日には、タイのセター首相自ら、バンコク近郊にある空港で中国人旅行者を出迎えたほか、到着ロビーではタイの伝統の踊りも披露されました。

タイを訪れた25歳の中国人女性は「3年ぶりの海外旅行となるのでとてもうれしい。観光ビザの免除で、ほかの国より旅費を抑えることができた」と話していました。

タイでは新型コロナ感染拡大前の2019年には、中国からの旅行者がおよそ1100万人と年間の外国人旅行者全体の3割近くを占めていました。

旅行者の数は中国の「ゼロコロナ」政策が終了して以降、徐々に回復傾向にありますが、ことし1月から9月中旬までの中国人旅行者数は230万人にとどまっていて、タイ政府は今回の取り組みで主力の観光業の回復につなげたい狙いです。

外国旅行の予約数 去年のおよそ20倍に 中国大手旅行予約サイト

ことしの「国慶節」などの大型連休は厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策の終了後、初めてとなることから、国内外を移動する人の数は去年と比べて大幅に増える見込みです。

中国の交通運輸省によりますと、連休中に公共交通機関や車などで移動する人の数はのべ20億5000万人にのぼるということです。

1日あたりではのべ2億5700万人と、去年の同じ時期と比べて6割近く増えるとみられているほか、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2019年の同じ時期と比べると、10%余り増加する見込みだとしています。

また、中国の大手旅行予約サイト「シートリップ」が今月中旬に発表した報告書によりますと、国内旅行の予約数は去年の同じ時期と比べて4倍以上増加しているほか、外国旅行の予約数は去年の同じ時期のおよそ20倍になったということです。

行き先としては、タイや韓国、マレーシア、シンガポールなどの人気が高いとしています。

一方で、航空券の予約状況などを分析している中国の会社によりますと、国際線の予約数は今月中旬の時点で、トップ10のうち北京発、東京行きが3位、杭州発、大阪行きが4位となるなど、日本も人気の行き先の1つとなっています。