宮下農相 福島県漁連と意見交換 “緊急支援策 速やかに実行”

宮下農林水産大臣は、就任後初めて福島県を訪れて東京電力福島第一原発にたまる処理水の放出の影響について県漁連と意見交換し、風評対策などを盛り込んだ水産事業者への緊急支援策を速やかに実行すると強調しました。

宮下農林水産大臣は27日午前、福島県いわき市を訪れ、小名浜魚市場で福島県漁連の野崎哲会長らと意見交換を行いました。

先月24日に始まった福島第一原発にたまる処理水の放出に対して、福島県漁連は放出に反対の立場を示しています。

福島県で水揚げされた水産物の取引価格については、処理水の放出後も大きく変動していない一方、水産物の最大の輸出先である中国が反発し、日本産の水産物の輸入を全面的に停止したことなどで、各地の水産業に影響が広がっています。

意見交換で宮下大臣は、「水産物のトリチウムの迅速な検査や、安心してなりわいを継続いただけるように、先日決定した政策パッケージの実行に向けて 各省と連携してしっかり取り組んでいきたい」と述べ、風評対策などを目的とした合わせて1007億円の水産事業者への緊急支援策を速やかに実行すると強調しました。

続いて宮下大臣は魚市場を視察し、水揚げの状況などについて担当者から説明を受けました。

福島県漁連 野崎会長「緊張感を持って対応してほしい」

福島県漁連の野崎哲会長は、意見交換のあと記者団に対し「今のところ、皆さんに理解をいただきながら冷静に対応してもらっていると思っている」と述べ、放出後、風評被害は発生していないという認識を示しました。

そのうえで「この状況が次の1か月、次の1年、5年、10年と続けられるよう緊張感を持って対応してほしいと大臣には伝えた」と述べました。

福島県知事 “輸入規制撤廃へ働きかけ強めて”

宮下大臣は午後からは福島県庁を訪れ、内堀知事と面会しました。

この中で、内堀知事は「基幹産業である一次産業の復興は着実に前進しているが、処理水の問題が重い課題だ。福島産の農産物の輸入を規制している7つの国と地域をゼロにするのが強い願いだ」と述べ、輸入規制の撤廃に向けて働きかけを強めるよう求めました。

宮下農相「最後まで責任を持って取り組む」

内堀知事との面会のあと、宮下大臣は記者団に対し、「きょうお会いした皆さんは今のところ風評による被害は感じていないようだった。最後まで責任を持って取り組むことが大切で、水産業の振興にも取り組み、漁業者の皆さんと力を合わせて前に進みたい」と述べました。

また、日本産の水産物の輸入を全面的に停止している中国などへの対応については、「引き続き政府をあげて国際会議の場などそれぞれのレベルで総力戦で取り組んでいきたい」と述べ、あらゆる機会を通じて輸入規制の撤廃に向けて取り組む考えを強調しました。