バスケ日本代表 馬場雄大 B1長崎に加入“最も成長できる”

バスケットボール男子、BリーグでB1に初めて昇格した長崎ヴェルカに、日本代表の馬場雄大選手が加入することになり、馬場選手は長崎市内で開かれた記者会見で「パリオリンピックに向けて自分が最も成長できるチームだと思い、このチームを選んだ。チームの優勝を目指してやっていきたい」と意気込みを語りました。

記事後半では馬場選手の記者会見の主な内容をお伝えしています。

「新しい馬場雄大を見ていただきたい」

B1リーグに昇格した長崎ヴェルカは26日、日本代表の馬場雄大選手が新たに加入すると発表し、馬場選手は長崎市内のホテルで記者会見に臨みました。

伊藤社長(左)と馬場選手

馬場選手は加入を決めた理由について「パリオリンピックの出場を決めることができたのはうれしかったが、個人的には納得していない。オリンピックまで1年弱しかない中で自分が最も成長できるチームだと思い、このチームを選んだ」と明かしました。

チームでの目標については「Bリーグに戻ってくることになったからには、チームの優勝を目指してやっていきたい。今シーズンにかける思いが強いので、新しい馬場雄大をファンの皆さんに見ていただきたい」と意気込みを述べました。

伊藤拓摩社長

また、NBAの下部リーグ時代に馬場選手をコーチとして指導した伊藤拓摩社長は「ワールドカップが終わった後に極秘で長崎に来てもらい、長崎の街のすばらしさやチームのビジョンなどの話の中で『来てほしい』と話した。馬場選手はここから成長していくと思いますし、ヴェルカと馬場選手にとってエキサイティングなすばらしいシーズンになると思います」と話していました。

長崎ヴェルカは、来月8日と9日に長崎市で行われる開幕カードで日本代表のキャプテン富樫勇樹選手が所属する千葉ジェッツと対戦します。

ダイナミックなプレーが持ち味

馬場雄大選手は、富山県出身の27歳。スピードと高い身体能力をいかしたダイナミックなプレーが持ち味です。

筑波大学在学中の2017年にBリーグのアルバルク東京に入団し、1年目で新人王を獲得、2年目はチームのリーグ2連覇に貢献しMVPに選ばれました。

2019年にNBA=アメリカプロバスケットボールでのプレーを目指してアメリカに渡りNBAの下部リーグのチームに加入。その後、オーストラリアのプロリーグなどで活躍しました。

ワールドカップでパリ五輪出場権獲得(9月2日)

また、日本代表でも中心選手の一人となっていて、2年前の東京オリンピックでは3試合すべてに先発出場したほか、8月から9月にかけて沖縄で行われたワールドカップでも活躍しパリオリンピックの出場権獲得に大きく貢献しました。

《馬場雄大 記者会見の主な内容》

馬場雄大選手
初めまして。長崎ヴェルカの皆様、携わっている皆様、馬場雄大です。よろしくお願いします。こうしてBリーグに戻ってくることになったからには、もちろんチームとして優勝を目指してやっていきたいです。

それと同時に、僕はバスケットボールをずっと続けてきて、NBA選手になりたいという目標があって、そこを常に考えて、チーム選びもさせてもらっていますし、今の僕があると思っています。

その中で環境面だったり、長崎ヴェルカで働いている方々、伊藤拓摩社長兼GMを含め、NBAでトレーナーをした経験のある中山さんだったり、本当に様々な方がアメリカというバスケットボール世界一と言われる国での経験を持っていて、話をしたときに、このチームがパリ五輪に向けて、1年弱という期間しかないですが、最も成長できる環境だと思い、このチームを選ばせていただきました。

Q.伊藤社長へ。馬場選手のどういうプレーが長崎に必要だと感じたか?

伊藤拓摩社長
プレー面もそうですが、馬場雄大という選手は大学からプロまで日本でもオーストラリアでも優勝の経験があって、優勝が当たり前、スタンダードになっている選手です。そういった選手が長崎ヴェルカに来ることによって、優勝という意識が選手、チーム、あるいは長崎のファンの皆さんに生まれるのではないかと思いました。

プレー面ではもちろん、トランジションやドライブ、ディフェンスの部分などたくさんあるんですが、それは見てもらったら分かると思います。彼の持っている高いスタンダード、プロとしてのスタンダードが長崎ヴェルカに、いい刺激を与えてくれると思っています。

Q.NBAを目指す中で海外でプレーする選択肢ではなく長崎に決めた理由は?

馬場雄大選手
まずワールドカップを経て、チームとしてパリ五輪(出場)を決められてうれしかったですし、日本バスケットボールにおいても新たな歴史を作ることが出来たと思いますが、個人的には納得していない、もう少しやりたかった、自分の力を見せたかった思いがあります。

次こそは、パリ五輪までには、さらに成長して、NBA選手になるという自分の目標、夢を達成するために、パリ五輪まで1年弱しかないなかで、今の自分にとってNBAの経験がある中山さんだったり、拓摩さん、経験のあるスタッフの方に囲まれてプレーすることが、その道を達成するにあたってベストだと思い、決断しました。

Q.長崎のファンに自分のこのプレーを見てほしいというプレーは?

馬場雄大選手
やっぱり日本だけじゃなくて世界からも言っていただいている「ババブーン」=ダンクシュートは、僕の代表的なプレーでもありますし、見ていただきたいと思いますが、本当にこの1シーズンにかける思いが強くて、今までにない自分を練習や試合を通して見せていきたいという思いがあるので“新しい馬場雄大”という姿を、まずは長崎ヴェルカのファンのみなさまに関係者の方に見ていただきたいなと思います。

Q.長崎で食べたい食べ物は?長崎でやりたいことは?

馬場雄大選手
ほかの県で長崎ちゃんぽんを食べたことはありますが、本場の長崎ちゃんぽんは食べたことがないので、選手たちに聞いて、いろいろな店に行きたいです。長崎に来て、自然がたくさんあって、東京ではどうしても見られない風景が目の前に広がっていて、自然は満喫したいと思います。

Q.ヴェルカの印象は?

馬場雄大選手
それこそ拓摩さんと話をして、プレースタイルが日本代表のファイブアウト(コート上の選手5人がアウトサイドにポジションを取る)の形に似ているので、初めてやるバスケではないので、そういった部分では、日本代表でふだんやっている精度の高いバスケットボールを長崎ヴェルカに還元できたらなと思っています。

Q.伊藤社長へ。馬場選手がチームにどうマッチすると思うか?

伊藤拓摩社長
本当に一番マッチする選手だと思います。「ハード」「アグレッシブ」「スピード」「イノベーティブ」「トゥギャザー」というのがヴェルカスタイルなんですが、彼はハードに、アグレッシブにプレーできますし、スピードもある選手です。

オフェンスでは、トランジション=速攻が武器のチームなので、そこでスピードを生かしてほしいですし、ファイブアウトで生じたスペースでドライブをしかけてほしいです。Gリーグ1年目からスリーポイントを決められる力があったので、シュート、スリーポイントをどんどん打ってほしいです。

ディフェンスでも今シーズンは、日本人選手のレベルも上がっていますし、外国人選手もいわゆる外から1対1を仕掛けられる選手もいるので、そういった選手に彼がマッチアップしてくれると思います。

本当にバスケット面で言うと、ヴェルカのスタイルにかなり合っていると思うので、早く合流してなじんでもらいたいと思っています。

Q.伊藤社長へ。馬場選手が今季最後の1人。どんなラストピースになってほしいか?

伊藤拓摩社長
長崎ヴェルカは3年目だが、1年目はゼロから1をみんなで作り上げる。昨シーズンはゼロから1を作り上げたものを次のレベルに持っていく。

今シーズンは「THIS IS VELCA」というスローガンを掲げていて、2年間積み上げてきたものをB1でバスケットボールファンの皆様に見てもらう。Bリーグの皆様にこれがヴェルカなんだぞ、というのを見てもらう。彼が来てくれたことでヴェルカスタイルがよりはっきりと表現できると思っています。

Q.10時に加入が発表されるとファンも歓喜していました。ファンヘメッセージを。

馬場雄大選手
バタバタしていて、ツイッター(現X)やインスタグラムを見られていませんが、以前から拓摩さんから「長崎のファンは熱い、熱狂的だ」と聞いているので、まずは皆さんの前でプレーするのが楽しみですし、若いチームだと思うんですけど、最短でB1に昇格してきて本当に環境面も選手たちの気持ちや情熱はすごいものがあると思うので、一緒になってB1で長崎ヴェルカの風を吹かせていきたいと思うので、選手たち、携わっている方だけでなくファンの皆様と一緒に戦っていきたいと思うので、応援をお願いしたいと思います。

Q.ワールドカップなどでバスケット界は盛り上がった。日本のバスケット界をどう見ている?

ワールドカップでも活躍(9月)

馬場雄大選手
この間のワールドカップで代表としてやっと結果を残すことができて、ずっと野球やサッカーに追いつきたいという思いの中でやってきたので、ワールドカップが終わって、羽田空港で祝福されたときは、近づいてきたという思いは出てきましたし、本当に直線ではないですけど、自分たちが道を作ってきて、やっとここまできたという実感もあるので、日の丸を背負ってプレーできることに誇りを感じていますし、これからまだまだ日本バスケットボールは成長できると思います。

Bリーグの充実も日本代表の強化につながっていると思うので、そこに関して全力で取り組んでいきたいというのと、まだまだ成長していきたいという思いでいるので、またそれを目指している選手が集まってくると思うので、頑張っていきたいと思います。

Q.4年ぶりにBリーグでプレー。リーグはどう進化した?

馬場雄大選手
正直、全然違うと思います。当時は、発足したてで、選手のプロとしての自覚は今より低かったと思います。昨シーズンを終えて、Bリーグの試合を何試合か観戦したときに、1人1人の選手のプロ意識、気持ちが全然違っていたので、1人1人プロフェッショナルなんだという思いを強く持っていますし、それと同時にレベルやリーグ自体の充実は肌で感じています。

Q.改めてパリ五輪と海外挑戦への思いについて?

馬場雄大選手
僕の目標、ゴールはNBA選手になることで、そのためにやっていますし、そこはこれからも変わらないです。Bリーグ、長崎ヴェルカでプレーすることがいったんストップになるとも思っていません。環境面も含めて、アメリカのGリーグに負けない環境だと思って選んだ選択肢でもあるので、それに関しては自信を持ってやっています。

しかし、NBA選手になるためにまだまだ成長しないといけないのも事実ですし、そのためにはパリ五輪のパフォーマンスが左右すると思うので、1年弱の短い期間の中で、一番成長できる環境を選ぶという点で長崎ヴェルカを選ばせてもらいました。

パリ五輪は、自分のバスケットボール人生をかけていいイベントだと思っています。

Q.ヴェルカで成長を期待できる点は?

馬場雄大選手
すべてですね。NBAのトレーナーを経験している方がいるので、NBA選手がどういう体作りをしているか理解している方なので、それに関してはNBAでプレーするという目標に近づけると思います。

スキルに関してもヘッドコーチも勤勉な方で知識もある方ですし、ファイブアウトという新しいバスケを体にしみこませることでNBAでも通用するレベルに持って行けると思うので、どんどん磨いていきたいと思っています。

Q.ヴェルカはB1初挑戦。若いチームに伝えたいことは?

馬場雄大選手
まだ選手たちと会っていないですが、B1で力を証明したい、B1でどれだけやれるのかという選手が集まっていると思うので、心配はありません。約5年前にB1の舞台で2シーズン戦った経験は、伝えられると思うので、そこが求められていると理解しているので、積極的にコミュニケーションをとって考えを伝えたいと思います。

Q.開幕戦からプレーする姿を見られると思っていていいか?

馬場雄大選手
ワールドカップで負傷した部分が何か所かあるので、そこの調整しだいだと思うんですけど、開幕戦に向けてベストな準備をしていきたいと思っています。

Q.開幕カードの相手・千葉ジェッツには同じ日本代表の富樫選手がいるが?

馬場雄大選手
敵として戦うのは、いつ以来かなと思ったんですけど、ジェッツは、年々力をつけて、今ではBリーグの顔といっていいくらいのチームだと思うので、チャレンジャー精神を忘れずチーム一丸となってやっていきたいと思っています。