ブレイキン世界選手権 女子の福島選手は2位 男子の半井選手3位

パリオリンピックの新競技、ブレイキンのオリンピック出場権がかかる世界選手権が行われ、女子は、ダンサーネームAYUMI(アユミ)の福島あゆみ選手が決勝で敗れて銀メダル、男子はShigekix(シゲキックス)、半井重幸選手が銅メダルとなり、日本勢のこの大会でのオリンピック出場権獲得はなりませんでした。

DJがかける音楽に合わせて即興で交互にダンスを披露し、1対1で対戦するブレイキンはパリオリンピックの新競技で、ベルギーで行われたことしの世界選手権は男女の優勝者にオリンピックの出場権が与えられます。

24日は男女ともにベスト16からの対戦が行われ、女子は2年ぶり2回目の金メダル獲得を目指す40歳のAYUMIが決勝まで勝ち進み、リトアニアの選手と対戦しました。

9人のジャッジが評価する3ラウンド制で行われた決勝でAYUMIは躍動感あるステップやしゃがんで足さばきを見せる得意の「フットワーク」で多彩な技を見せました。

AYUMIは最初のラウンドを取りましたが、残る2つを相手に取られて1対2で敗れて銀メダルとなりました。

また、去年のこの大会の金メダリスト、AMI(アミ)、湯浅亜実選手はベスト8進出をかけて4人の選手が総当たりで対戦するリーグ戦で敗れました。

一方、男子のエースShigekixは準決勝まで勝ち進みリズムに乗って持ち味のスピード感あるムーブを見せましたが、カナダの選手に敗れて3位決定戦に回り、銅メダルを獲得しました。

金メダルはカナダの選手を決勝で破ったアメリカの選手が獲得しました。

この大会で日本勢のオリンピックの出場権獲得はならず、次は、いま開催されているアジア大会の優勝者に与えられる出場権の獲得を目指します。

福島あゆみ=AYUMI選手 40歳超え今もトップレベル

ダンサーネームAYUMIの福島あゆみ選手は長く世界の舞台で活躍し、40歳を迎えた今なお世界トップレベルの実力を誇るダンサーです。

京都府出身で、姉の影響でブレイキンを始め競技歴はおよそ20年に上り、国際大会の実績も豊富で最新の世界ランキングは4位です。

多彩なオリジナル技を持ち、しゃがんで手をつき、足さばきを見せる「フットワーク」が持ち味です。

ハンチング帽をかぶって踊るスタイルもおなじみとなっています。

ことし2月の全日本選手権と7月のアジア選手権では世界トップレベルで競うAMI、湯浅亜実選手をいずれも決勝でやぶって優勝を果たしました。

2年ぶり2回目の優勝を目指すことしの世界選手権に向けては体のケアの時間を多くして、コンディション作りに力を入れたということで「練習してきたことを気持ちを込めてやるだけなので、自分を信じて頑張りたい」と話していました。

半井重幸=Shigekix選手 日本のエース

ダンサーネームShigekixの半井重幸選手は大阪府出身の21歳で最新の世界ランキングは2位です。

4歳年上の姉の影響を受けてブレイキンを始め、駅の構内で大人と一緒に練習を重ねて技術を磨きました。

音楽との融合性、「ミュージカリティ」を強みにしたスタイルで、強じんなフィジカルを生かしたスピード感のあるムーブが持ち味です。

世界最高峰の国際大会を18歳で制しことしの全日本選手権では3連覇を達成。

日本男子のエースとしてパリオリンピックではメダル獲得が期待されています。

8月行われた国際大会で優勝するなど調子を上げていて、世界選手権に向かう前の空港で取材に応じた際には「1つやってきたことが形になったのを体感できた。コンディションを整えて、かなりいい状態で出発の日を迎えられた」と自信を口にしていました。

女子 巻き返しに注目

パリオリンピックで実施される32競技のうち、唯一の新競技がブレイキンです。

日本の女子は世界トップレベルで複数の選手が競い合いながら、レベルアップを図ってきました。

その中心が、40歳のAYUMI、福島あゆみ選手と24歳のAMI、湯浅亜実選手の2人です。

すべての要素を高いレベルでこなすオールラウンダーで、流れるようなダンスが持ち味のAMIに対し、AYUMIは多彩なオリジナル技で勝負する、まったく違うスタイルの2人が世界トップレベルでしのぎを削ってきました。

2019年に始まった世界選手権ではこれまでの3大会でAMIが初代女王に輝き、2回目の大会ではAYUMIが優勝。

去年の大会ではAMIが女王に返り咲き、これまでの3大会は2人が優勝を分け合ってきました。

パリオリンピックにつながる7月のアジア選手権でも2人が決勝で対戦。

勝利したAYUMIはバトルのあと、「決勝前にいろいろ考えたらすごく涙が出るくらい、やっぱりアミーゴとは(AMI)パリオリンピックへのプロセスを一緒に戦っているという気持ちが私の中では大きくて、そんな人とこの大きい舞台の決勝で当たるというのは、いつもうれしく悲しくきついという、そんな感じ」と心境を話していました。

パリオリンピックに出場できるのは各国・地域で最大2人です。

その前哨戦とも言える今回の世界選手権で、2人が直面したのは海外勢の台頭でした。

連覇を目指したAMIはベスト8進出をかけて4人の選手が総当たりで対戦するリーグ戦で、1勝も挙げることができず、敗れました。

一方のAYUMIは決勝まで勝ち進みましたが、リトアニアの10代の選手に敗れ2年ぶり2回目の世界選手権制覇はなりませんでした。

来年のオリンピックという大舞台を目指して、次々と新しいライバルが登場するブレイキン界で高め合うAMIとAYUMIがオリンピックの新競技最初のメダルを日本にもたらすことができるのか、今後の巻き返しに注目です。