神奈川 真鶴町長が失職 リコール賛否問う住民投票で

神奈川県真鶴町の町長が選挙人名簿を不正にコピーして選挙に利用していた問題で、24日、町長のリコール=解職請求の賛否を問う住民投票が行われ、「賛成」が有効投票の過半数を占めて、町長は失職しました。

真鶴町の松本一彦町長は町の職員だった3年前の2月に選挙人名簿を不正にコピーして持ち出し、町長選挙に利用したなどとしておととし辞職し、その後の選挙で再び当選しました。

しかし、町の職員が相次いで辞職するなど町政の混乱が続いたことから、地元の住民グループがリコールを求めて有権者の3分の1を超える2350人分の署名を集めて選挙管理委員会に提出し、24日、リコールの賛否を問う住民投票が行われました。

開票の結果、解職に「賛成」が2204票、「反対」が1378票と「賛成」が有効投票の過半数を占め、松本町長は失職しました。

投票率は59.40%でした。

町では今後50日以内に町長選挙が行われます。

リコールの署名集めた住民グループ「未来の第一歩」

リコールに向けて署名を集めた住民グループは、結果を受けて会見を開きました。

青木巌代表は「町長が選挙人名簿について不正をしたということが、リコール運動を通じて町民に伝わり、民意が反映されたと考えている。開票結果は、これから真鶴町が将来・未来に向けて進んでいくための第一歩だと思う。町を分断するのではなく、この結果を踏まえて、一つになって町を前に進めていきたい」と述べました。

松本町長 次の選挙には立候補せず

松本町長は24日会見を開き、次の町長選挙には立候補しないと述べました。

松本氏は、「これまで支援してくださった町民、後援会、家族に感謝する。次の町長選挙には出馬しない。今後の活動については、頭の中をリセットする必要があり、今のところ未定だ」と述べました。

そのうえで、「住民投票が行われる原因を作ったのは私であり、申し訳なかったという気持ちがある。問題が発覚したあとの2年間は苦しい状況で、やりたかったことに着手しようとしたが、私の力不足でなかなかうまくいかなかった」と振り返りました。

そして、「真鶴町は過疎化が進むなど、争いをしているほど悠長な状況にはない。今回で対立を最後にして元気な町になってほしい」と述べました。

住民「協力して町の立て直しを」

住民投票を経て真鶴町の町長が失職したことを受けて、住民からは融和を望む声が聞かれました。

70代の男性はこの2年間を「選挙人名簿問題が発端となって再選挙があり、町が二分した感じがする。やった本人が退いてくれれば一番よかったが、そうならずに2つの陣営に分かれてもみ合う状況になってしまった印象だ。きのうで結果がはっきりしたのだから、協力してしっかりと真鶴町を立て直してほしい。今までどおりにみんなが楽しく働ける、あいさつができる町になってほしい」と話していました。

70代の女性は「2回の町長選挙で当選したのだから、リコールをする意義がわからないところもあった。町長をもり立てて任期を全うさせることも1つの道だったのではないか。小さな町なのでわだかまりをなくして、みんなで協力しないと、もっとじり貧になってしまう」と話していました。