熱海富士は初の敢闘賞 地元ではPVで大声援 千秋楽まで優勝争い

大相撲秋場所の三賞選考委員会が開かれ、千秋楽を単独トップで迎えた平幕、熱海富士が初めて敢闘賞を受賞しました。

秋場所の三賞選考委員会は24日、東京・両国の国技館で開かれました。

その結果、21歳の熱海富士が初めての三賞となる敢闘賞を受賞しました。

前頭15枚目の熱海富士は序盤戦から前に出る相撲で白星を重ね、11日目には小結・翔猿を破るなど11勝3敗の単独トップで千秋楽を迎えました。

熱海富士は、優勝決定戦で敗れて優勝はなりませんでしたが、千秋楽まで優勝争いの先頭に立っていたことが評価されました。

殊勲賞は大関の貴景勝を除く力士が優勝した場合だったため、該当する力士はいませんでした。

技能賞も該当者なしでした。

地元ではPVも 市民「熱海の誇り」

優勝決定戦で敗れて初優勝はならなかったものの、地元・熱海市ではパブリックビューイングが行われ、若きヒーローに声援を送りました。

熱海富士は11勝3敗の単独トップで千秋楽を迎え、地元の熱海市では優勝の瞬間を見届けようと市と後援会が24日午後4時ごろからパブリックビューイングを開き、市役所近くの会場には、斉藤栄市長や熱海市在住で元歌手の橋幸夫さんなど市民およそ120人が集まりました。

集まった人たちは、タオルやうちわを振りながら、大型スクリーンに熱海富士が映し出されるたびに「頑張れ!」などと大きな声援を送りました。

本割で優勝が決まる大一番で朝乃山に敗れると大きなため息が上がりましたが、その後臨んだ大関・貴景勝との優勝決定戦の直前は再び、期待の大歓声に包まれました。

しかし、優勝決定戦でも貴景勝に、はたき込みで破れると悲鳴が上がっていました。

斉藤市長は、「残念でした。相手が試合巧者だったのかなと思います。熱海市全員が元気と勇気と感動をもらうことができて、ありがとうございましたと申し上げたい」と話していました。

熱海富士が中学生の頃から親交があるという60歳の女性は、「熱海富士の成長はすごいスピードで今場所は勝ち越せればと思っていたのにここまで頑張ってくれてうれしいです。熱海の誇りです」と涙ながらに話していました。

応援は下宿していた定食屋でも

また、静岡県三島市にある、高校時代、熱海富士が下宿していた定食屋では、集まった仲間たちが声援を送りました。

三島市竹倉にある定食屋は、熱海富士が高校1年生の時およそ半年間、下宿していた店で、店内には、熱海富士のサインや手形の入った色紙、写真などが飾られています。

きょうは、午後4時すぎから熱海富士が所属していた相撲クラブの先輩や後輩、それに地元の人たちが店を訪れ、テレビで熱海富士の様子を見守りました。

熱海富士は本割で前頭2枚目の朝乃山に敗れ、11勝4敗で大関・貴景勝と並んで優勝決定戦に臨み、優勝決定戦でも貴景勝に敗れて初優勝はなりませんでした。

店にいた人たちからは残念そうな声が上がりましたが、熱海富士の健闘を拍手でたたえていました。

店主の杉山信二さんは「感無量です。よくやってくれましたし、ありがとうと言いたい。日本人の横綱を目指して精進してもらいたい」と話していました。

熱海富士が所属していた三島相撲クラブの先輩の加藤廉生さんは「ここまでよく頑張ってくれて感動をありがとうと伝えたい。今後のさらなる飛躍を三島から応援していきたい」と話していました。

熱海富士「悔しい もっと強くなりたい」

熱海富士は「悔しい。勝ちたかった。本割でも決定戦でも目の前に賜杯があったのにだめですね」と悔しそうな表情で話しました。

一方で優勝決定戦まで優勝を争ったことについては「入門したころから、横綱があの場で相撲を取っているのを見てきた。そこに自分も立てると昔の自分に言いたい」と話していました。

そして、「稽古が足りない。やることがいっぱいある。まだ相撲人生は長いので、もっと強くなりたい」と早くも次の場所を見据えていました。