ウクライナ軍 南部クリミアへの攻撃“幹部会議の最中狙った”

ウクライナ軍は、ロシアが一方的に併合した南部クリミアにあるロシア海軍の黒海艦隊の司令部を攻撃したことについて、幹部会議の最中を狙ったと主張しました。ウクライナ側は、ロシアにとって戦略的に重要な拠点であるクリミアで軍事施設への攻撃を強めていく構えです。

ウクライナ軍の参謀本部は23日、空軍がこの1日の間に南部クリミアの軍港都市セバストポリにあるロシア海軍の黒海艦隊の司令部のほか、防空ミサイルシステムなどを攻撃したと発表しました。

このうち、司令部への攻撃について、ウクライナ軍の特殊作戦部隊は23日「幹部会議が行われている最中にタイムリーかつ正確に攻撃することができた」とSNSに投稿し、自分たちの情報をもとに空軍が攻撃を加えたとした上で「幹部を含む数十人が死傷した」と主張しました。

また、イギリスの公共放送BBCは、ウクライナ軍の関係筋の話として、攻撃にはイギリスとフランスから供与された巡航ミサイルが使われたと伝えています。

クリミアは、ロシアにとって黒海艦隊が駐留する戦略的に重要な拠点であるとともに、9年前に一方的な併合を宣言したプーチン大統領がみずからの力を誇示する上でも象徴的な場所です。

ウクライナ政府で安全保障政策を担当する国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は22日、SNSに「ロシア黒海艦隊には自発的な撤退か、それとも強制的な撤退かの2つの選択肢がある」と投稿し、今後クリミアでロシアの軍事施設への攻撃を強めていく構えを示しました。

ロシア ラブロフ外相「欧米はわれわれと直接戦争をしている」

ロシアのラブロフ外相は、ニューヨークで開かれている国連総会で23日、演説を行いました。

この中でラブロフ外相は「西側諸国は、ウクライナの政権を組織的に軍事化し続けてきた」と非難した上で、NATO=北大西洋条約機構を実質的にアジア太平洋地域にまで拡大させているなどとする持論を展開し、欧米との対決姿勢を改めて鮮明にしました。

このあと開かれた記者会見では、アメリカのバイデン大統領が射程の長い地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」をウクライナに供与する方針を伝えたと、アメリカのメディアが報じたことについて質問が出ました。

これに対してラブロフ外相は「欧米はより多くの兵器を供与している」と述べるとともに、「どう呼ぼうと勝手だが、欧米はわれわれと直接戦争をしているということだ」として、ロシアに対し、アメリカなどが戦争を仕掛けているとする一方的な主張を繰り返しました。