新型コロナ後遺症 重く長期化した女性に初の傷病補償年金支給

新型コロナウイルスに感染し労災認定を受けた女性が後遺症の症状が重く長期化したとして傷病補償年金の支給が決まったことがわかりました。支援するNPOによりますとコロナの感染でこの年金が支給されるのは初めてとみられ、後遺症に苦しむ人たちの救済につながると期待されています。

22日、厚生労働省で都内に住む55歳の女性が記者会見を開きました。

女性はおととし1月、東京都内の有料老人ホームで働いていた際に新型コロナに感染して休職し、半年後に労災認定を受けました。

その後も息苦しさなどは改善せず自宅で酸素療法を続ける生活を続けていたところ、ことし5月に労働基準監督署から傷病補償年金の支給が決まったと通知されたということです。

傷病補償年金はこれまでじん肺などで療養を始めてから1年半が経過した、症状が重い人が対象となっていましたが、NPOによりますとコロナで支給されたのは初めてとみられるということです。

女性は「毎日酸素を2リットル使う生活で、元気に動ける日が少なく不自由な生活になった。時間がかかったけど、支給が認められてほっとしています」と話していました。

NPO法人、東京労働安全衛生センターの飯田勝泰事務局長は「コロナの後遺症に苦しむ人たちの治療と補償が課題になっている中で、国は傷病補償年金を支給し多くの人たちの救済につなげてほしい」と話していました。

専門家「傷病補償年金支給認めたことは重要」

労働問題に詳しい東洋大学の鎌田耕一名誉教授は「新型コロナの後遺症が労災認定されるのは、そもそもハードルが高いと言われている。そうした中で後遺症が長期化した人に傷病補償年金の支給を認めたことは重要な判断だ。コロナの後遺症は企業によっては理解が進んでおらず、症状が続く人が『いつまで仕事を休むのか』と言われるようなケースが少なくないため、こうした人たちへの支援をどう進めていくか、考えていく必要がある」と話しています。