処理水放出1か月 水産事業者に影響“支援策速やかに実施”農相

福島第一原発にたまる処理水の放出から24日で1か月となる中、宮下農林水産大臣は中国による日本産の水産物の輸入停止で水産事業者に影響が出ているとして、政府の支援策を速やかに実施していく考えを強調しました。

福島第一原発にたまる処理水の海への放出が先月24日から始まったことを受けて、日本の水産物の最大の輸出先となっている中国が輸入を全面的に停止し、影響が広がっています。

財務省が発表した先月の貿易統計では、中国向けの水産物を含む食料品の輸出が前の年の同じ時期と比べて41.2%の減少と、大きく落ち込みました。

これについて、宮下農林水産大臣は、22日の閣議のあとの記者会見で「中国向けの輸出の減少は、日本産の水産物に対する検査の強化などが主な要因と考えられる。事業者への聞き取りなどで、実際の影響を的確に把握していく必要がある」と述べました。

輸出の減少による具体的な影響については、「特に北海道や東北のホタテとナマコについては一部で価格が下落しているとの声が上がっている」と述べ、風評対策などを目的とした合わせて1000億円余りの政府の支援策を速やかに実施していく考えを強調しました。

松野官房長官“処理水の放出 計画どおり安全に実施”

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「処理水の海洋放出はこれまでのモニタリングの結果から計画どおり安全に進められている。結果を国内外に透明性高く情報発信しており、国際的にも科学的知見に基づく冷静な対応が広がっている」と述べました。

そのうえで「中国による日本産水産物の輸入の全面的な一時停止措置は科学的根拠に基づく対応とは言えず極めて遺憾であり、引き続き政府一丸となって即時撤廃を求めていく。総額1007億円の政策パッケージを早急に実行し全国の水産業支援に万全を期していく」と述べました。