台湾国防部が異例の発表 中国軍部隊を名指しで「動向を監視」

台湾国防部は21日夜、中国軍の福建省の地上部隊を名指しして「動向を監視している」と発表しました。異例の発表で、中国軍の部隊が比較的大規模に集結した可能性や、台湾側が把握している情報をあえて開示して中国軍の動きを抑止するねらいがあるといった見方が出ています。

台湾国防部の21日夜の発表によりますと、この日、のべ20機を超える中国軍機が台湾周辺の空域で活動し、一部は台湾海峡の「中間線」を越えるなどしたということです。

さらに、この発表の中で台湾国防部は「中国のロケット軍や、福建省の大※テイ湾付近の地上部隊などの動向を同時に監視している」と言及しました。

台湾国防部は、毎朝ほぼ決まった時間に、直近の24時間に確認した中国軍の航空機や艦艇の数を発表するほか、台湾に接近する軍用機が多いなど特異な動きが見られた場合は臨時に発表していますが、今回のように中国軍の地上部隊が配置されている場所を名指しして警戒を示すのは異例です。

台湾国防部がこうした発表を行ったことについて、台湾の中央通信は、複数の専門家の話として、中国軍の部隊が比較的大規模に集結した可能性のほか、中国軍の細かな動向を監視できていると台湾の市民に示す意図や把握している情報をあえて開示して中国軍の動きを抑止するねらいがあるといった見方を伝えています。

※テイは「土へん」に「呈」

台湾国防部長「最近の敵情は普通ではない」

これについて邱国正国防部長は22日、報道陣の質問に対し「最近の敵情は確かに普通ではない」と答えました。

そのうえで「今のこの状況はすでに長く続いている。われわれの検討判断によれば、中国軍は9月まで統合軍事演習を行っている。それには陸、海、空の3軍と、水陸両用部隊や陸軍航空部隊が含まれている」と述べ、中国軍の動向を把握していることを強調しました。