ニュース配信 記事使用料 著しい低単価は独禁法違反のおそれも

公正取引委員会は、新聞社などのメディアと、ヤフーなどニュースを扱うポータルサイトやアプリの運営事業者との取り引き実態に関する調査をまとめました。運営事業者によって記事の使用料の単価は5倍程度の開きがあり、一方的に著しく低い単価を設定した場合は、独占禁止法違反のおそれがあると指摘しています。

新聞やテレビ、雑誌などのメディアの記事は、ニュースを扱うポータルサイトやアプリでも見ることができますが、その使用料などをめぐって、メディアから不満の声も上がっていることから、公正取引委員会がこのほど取り引きの実態を調査し、報告書にまとめました。

それによりますと、運営事業者が2021年度、支払った記事の平均の使用料は、閲覧回数1000回当たりで
▽最も高い事業者で251円
▽最も低い事業者で49円と
事業者によって5倍程度の開きがあったということです。

また、メディアと運営事業者の関係について
▽およそ6割のメディアが「使用料の支払額が最も多い事業者」として挙げたヤフーは「優越的地位にある可能性がある」とし
▽それ以外の事業者も、「優越的地位にある可能性は否定されない」としています。

こうしたことから、報告書では、運営事業者は、使用料の算定方法などを可能なかぎり開示することが望ましく、一方的に著しく低い単価を設定した場合は、独占禁止法違反のおそれがあると指摘しています。

公正取引委員会“独占禁止法上 問題のケースには厳正に対処”

公正取引委員会のデジタル市場企画調査室の稲葉僚太 室長は「これまでメディアにとって、使用料の水準などに関する業界の一般的なトレンドはブラックボックスになっていたと思う。今回の調査結果を今後の交渉材料として、協議が進められていくことを期待している」と述べました。

そのうえで「優越的地位の乱用にあたるような行為が実際に行われている場合には、われわれ競争当局としてしっかり厳正に対応していく」と述べ、独占禁止法上、問題となるようなケースを把握した場合には、厳正に対処する考えを示しました。