デジタル庁に行政指導 マイナンバー 公金受取口座登録ミス問題

マイナンバーの公金受取口座に別の人の口座が登録されるミスが相次いだ問題で、個人情報保護委員会は、デジタル庁の対応に不十分な点があったとして、改善を求める行政指導を行いました。このほか、国税庁やシステムを運用する会社などにも行政指導を行いました。

マイナンバーの公金受取口座に別の人の口座が登録されるミスが相次いだ問題をめぐっては、ことし7月に政府の第三者機関の個人情報保護委員会が、システム全体を管理するデジタル庁に立ち入り検査を実施し、事実関係を調べてきました。

そして委員会は調査の結果、デジタル庁の対応に不十分な点があったとして、20日に改善を求める行政指導を行いました。

具体的には
▽システムのしくみ上、共用端末でログアウトがされないまま別人の情報が登録されるミスが予測されたのにリスク管理を怠っていたほか
▽ミスの発覚後も組織内で情報共有が適切に行われていなかったなどと指摘し、来月末までに対応の改善状況の報告を求めています。

一方、委員会は、確定申告でも同様に誤登録が起きた問題で、国税庁に対しても、本人確認が徹底されないなどの不備があったとして、行政指導を行いました。

さらにコンビニでのマイナンバーカードを使ったサービスで別人の証明書が交付された問題でも
▽システムを運用する富士通の子会社と
▽東京 足立区
▽川崎市
▽福岡県宗像市の3つの自治体に行政指導を行いました。

松野官房長官「総点検と再発防止に取り組んでいく」

松野官房長官は午後の記者会見で「デジタル庁は今後、個人情報保護委員会の指摘を真摯(しんし)に受け止め、個人情報保護の体制の強化や意識の向上に向けた取り組み、監査の充実など、再発防止に取り組んでいく」と述べました。

その上で「誤登録など一連の事案が発生したことを重く受け止め、マイナンバー制度やマイナンバーカードに対する国民の信頼を取り戻せるよう政府をあげて、総点検と再発防止に取り組んでいく」と述べました。

デジタル庁がおわびコメント

政府の第三者機関である個人情報保護委員会から行政指導を受けたことについて、デジタル庁は「国民の皆様にご心配をおかけし、おわびを申し上げます。個人情報保護委員会による指導を真摯に受け止め、再発防止に努めます」とコメントしています。

その上で、専門知識をもつ人材を新たに採用するなど、体制の強化を図るとともにリスク事案が発生した場合に組織内で速やかに情報共有する仕組みを導入するなど、再発防止策を徹底するとしています。

富士通の子会社がコメント

富士通の子会社は、マイナンバーカードを使ったサービスで別人の証明書が交付された問題で、個人情報保護委員会から行政指導を受けたことについて「多大なるご迷惑ご心配をおかけし、改めて深くおわび申し上げます。指導を厳粛に受け止め、現在進めているシステムの改修などを実施していくとともに、グループ全体として全社的、組織横断的かつ継続的な品質の改善・向上施策のもとで再発防止に取り組んでまいります」とコメントしました。

マイナンバーカードを使ってコンビニや庁舎内の機器で住民票の写しなどの証明書を交付するサービスをめぐっては、ことし3月以降、富士通の子会社が運営するシステムを使う複数の自治体で、別人の証明書が発行されるトラブルが起きていました。

会社は、ことし7月からシステムの修正が行われていなかった44の自治体などへのシステム修正を進めていますが、今の時点では、修正が完了する時期のめどは立っていないとしています。