岸田首相 “核廃絶の実現へ FMCT発効に向け交渉の早期開始を”

岸田総理大臣は訪問先のニューヨークで、FMCT=兵器用核物質生産禁止条約について、核兵器廃絶の実現のために必要だとして、発効に向けて交渉の早期開始を訴えました。

核兵器の原料となる物質の生産を禁じ、増やさないことなどを目的としたFMCT=兵器用核物質生産禁止条約は、1993年に当時のアメリカのクリントン大統領が条約交渉を提案し、国連総会で決議が採択されましたが、交渉は始まらないまま、ことしで30年となりました。

岸田総理大臣は訪問先のニューヨークで、条約への政治的な関心を再び高めようと、フィリピンやオーストラリアとともに開いた会合に出席し、スピーチしました。

この中で岸田総理大臣は、唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現を目指す立場を強調する一方、ロシアの核の威嚇などを踏まえ、「現下の国際情勢に照らせば、乗り越えるべき壁はいっそう厳しいものになりつつあると危機感を強めている」と述べました。

そのうえで、「今こそ核兵器の量的向上の制限をかけ、世界的な核兵器数の減少傾向を維持していく必要がある」と述べ、条約が核兵器廃絶の実現のために必要だとして、発効に向けて交渉の早期開始を訴えました。