浦和レッズ 来年度の天皇杯参加資格剥奪 暴力行為防げず

日本サッカー協会は、先月行われた天皇杯4回戦でサポーターの暴力行為を防止できなかったなどとして、浦和レッズに対し、来年度の天皇杯への参加資格剥奪の処分を科したと発表しました。

この処分は日本サッカー協会が規律委員会で審議を行い、発表したものです。

協会によりますと、先月、名古屋市で行われた天皇杯4回戦の名古屋グランパスと浦和レッズとの試合後、レッズのサポーター合わせて70人以上が相手チームのサポーターや警備運営のスタッフに暴力をふるったり、相手チームの横断幕やスタジアム内の設置物を損壊したりするなどの行為が確認されたということです。

こうした暴力行為などを防止できなかったほか、観客や選手などの安全を確保するために適切な措置を講じなかったとして、レッズに対し、来年度の天皇杯の参加資格の剥奪と、けん責の処分を科すことを発表しました。

協会によりますと、クラブに対する処分は罰金や無観客での試合など17種類あり、参加資格の剥奪は除名などとともに最も重い処分の一つだということで、1993年にJリーグが始まって以降、この処分が科されるのは初めてだということです。

協会はこの問題をめぐって先月31日に、レッズのサポーター17人を無期限の入場禁止、サポーター1人を5試合の入場禁止の処分としていて、現在も関わった人物がいないか、引き続き調査を行っているということです。

今回の処分にあたって協会は、「スタジアムで安全、安心に観戦できなくなれば、サッカー競技自体への興味を失わせることにもなりかねない。サポーターによる暴挙は断じて許されない」とした上で、違反行為を行ったサポーターに対し、「みずからの行為がクラブに招いた結果の重大性をしっかりと受け止めてほしい」などとしています。

浦和レッズ 処分受け対応策発表

今回の処分を受けて浦和レッズは改めて謝罪した上で、再発防止に向けた対応策を発表しました。

この中では違反行為に対する厳罰化を念頭に、クラブとしての新たな処分基準を10月までに策定するほか、クラブの運営に役立てるため、サポーターや外部のアドバイザーからなる第三者委員会を立ち上げることなど、あわせて6つの項目を掲げています。

さらに、田口誠社長の役員報酬の15%、取締役の役員報酬の10%を3か月間それぞれ自主的に返納するとしています。

浦和レッズの田口社長は「多くのサッカー関係者やファン・サポーターのみなさまの努力によって形成されてきた、スタジアム観戦への好意的なイメージを深く傷つけてしまったことはサッカー界、スポーツ界に身を置く者として痛恨の極みであり、その責任を痛感している」などとしています。

重い処分の理由は

日本サッカー協会が浦和レッズに来年度の天皇杯への参加資格はく奪という重い処分を科したのは、レッズのサポーターによる問題が繰り返されてきたことが背景にありました。

日本サッカー協会はきょう公表した処分に関する文書の中で、「浦和レッズのサポーターが引き起こした懲罰事案はリーグ及び天皇杯を含めて2000年以降だけでも11件にのぼる」としています。

そして、「再発防止に向け、さまざまな取り組みを行ってきたことは一定程度評価するものの、そのような取り組みにもかかわらず、サポーターによる問題行動は繰り返され、改善を見せるどころか、本件のような集団的に暴徒化するという許されざる暴挙にまで至っている」と指摘しました。

また、浦和レッズのサポーターを巡っては2022年、Jリーグで新型コロナウイルスへの感染を防ぐため、一部の試合を除いて、原則として声を出して応援することを禁止されていた中で、繰り返し声を出して応援を行っていたとして、Jリーグがクラブに対し過去最高額に並ぶ罰金2000万円の処分を科しています。

その際、「再び懲罰事案を発生させた場合、無観客での試合の開催、または勝ち点を減らすといった懲罰を諮問する可能性がある」という強い警告を行っていました。

協会はこうした事案も踏まえて、これまでよりも重い処分を科すことが相当だと判断したとしています。

また、違反行為を行ったサポーターに対して、「みずからの行為がクラブに招いた結果の重大性をしっかりと受け止めてほしい」と反省を促しました。

そして、最後には、「サポーターはクラブとその選手たちを心から応援し、愛する存在であるはずである。観戦ルールに違反する行為は、結果的に自分が愛するクラブ、そのクラブを愛する多くの仲間たちを傷つけることになってしまう。そのことを自覚し、ルールを守って観戦することを切に願う」と締めくくっています。