前任のヘッドコーチはエディー・ジョーンズ氏。
ワールドカップでは2003年大会で母国・オーストラリアを準優勝に導くと、2015年大会では、日本のヘッドコーチとして『ハードワーク』と称される徹底した練習でスピードと運動量を磨き上げ、南アフリカ戦での歴史的な勝利につなげました。
その後、イングランドの指揮官となり、2019年の前回大会ではチームを準優勝に導きました。

ラグビーW杯 日本ゆかりの新旧HC イングランド代表率いる
イングランド戦11回目の挑戦でも初勝利はならなかった日本。
今回も立ちはだかったイングランド代表を率いてきたのは、日本の強化に携わった新旧のヘッドコーチでした。
2015年大会で日本を指揮 エディー・ジョーンズ氏


今大会に向け、日本を強化し、イングランドも立て直した『ハードワーク』に加え、プレーの幅を広げようと取り組みましたが、逆に自分たちのラグビーを見失い、不調に陥ります。
そして去年秋のテストマッチでアルゼンチンや南アフリカに敗れると、イングランドラグビー協会はジョーンズ氏を解任しました。
現ヘッドコーチも日本代表のコーチを経験

その後を継いだのが現在のスティーブ・ボーズウィックヘッドコーチです。
実はボーズウィック氏、ジョーンズ氏のもとで日本代表のコーチを務め、2015年大会での躍進を支えました。
今大会まで残り9か月で就任したボーズウィックヘッドコーチが目指したのは、原点回帰ともいえるシンプルなラグビーでした。
スクラムやラインアウトといったセットピース、それにディフェンスで基礎を固める一方、攻撃の練習に力を入れました。
そのポイントが“伝統のキック”です。

この大会に入っても初戦のアルゼンチン戦でキックで全得点を挙げて勝利すると、ハイボールの処理を苦手とする日本対策を徹底。
試合では、序盤は日本のスピード感あるアタックに攻め込まれる部分があったものの、キックを有効に使って徐々に流れを引き寄せました。

一方で試合後、「日本は信じられないほどスマートで型破りなプレーをしてきた」と話したボーズウィックヘッドコーチ。
そして、こうも語りました。
「選手たちは対策を見つけ、挑戦的にプレーし、結果を出すために非常によくやった。わずかな準備期間でも前進するために毎日『ハードワーク』してきた」。
イングランド勝利の裏には、日本のラグビーの成長にも貢献した新旧2人のヘッドコーチの存在がありました。