アメリカ 中国 ロシア 3か国の外交的な駆け引きが活発化

中国の王毅外相がロシアを訪問してラブロフ外相と会談し、中ロ首脳会談に向けた調整が行われたものとみられます。
一方、アメリカでは、ブリンケン国務長官と中国の韓正国家副主席が会談し、アメリカと中国、ロシアがそれぞれ外交的な駆け引きを活発化させています。

中国の王毅外相は18日、ロシアの首都モスクワを訪問し、ラブロフ外相と会談しました。

会談の冒頭、王外相は「覇権主義や陣営の対立といった逆流が激しくなればなるほど、われわれは、大国のふるまいを示し、果たすべき国際的な責務を履行しなければならない」と述べ、アメリカを念頭に、ロシアとの協力をさらに深めていく考えを示しました。

これに対し、ラブロフ外相は「世界情勢における正義を確保するために中ロ両国の協力は重要だ」と述べ、ウクライナ情勢で対立を深める欧米と対抗していくため中国との連携を強化する姿勢を強調しました。

会談では、ウクライナ情勢について意見が交わされたとみられるほか、先にロシア極東で行われたプーチン大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン総書記の首脳会談について、ラブロフ外相が説明した可能性があります。

また、10月、中国で開かれる巨大経済圏構想「一帯一路」の国際フォーラムに、習近平国家主席の招待を受けてプーチン大統領が出席する見通しで、中ロ首脳会談に向けた調整も行われたものとみられます。

一方、アメリカのニューヨークでは、ブリンケン国務長官と中国の韓正国家副主席が会談し、11月にアメリカで開催されるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議などにあわせた米中首脳会談の実現に向けて協議した可能性があります。

今月16日から17日にかけては、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官と王外相が会談しており、アメリカと中国、ロシアがそれぞれ外交的な駆け引きを活発化させています。

松野官房長官「ロシアと中国の動向を注視」

松野官房長官は閣議の後の記者会見で「政府として第三国間の外交上のやりとりにコメントすることは差し控えたいと思うが、ウクライナ情勢をめぐるものを含むロシアと中国の動向を注視している」と述べました。

その上で「ロシアに対する制裁をいっそう効果的なものにするには第三国を通じた制裁のう回、回避を防ぐことが重要であり、国連総会の場も含めさまざまな国との間で協力を確認していきたい。また中国にはロシアが軍事的侵略を停止するよう圧力をかけることを求めていく」と述べました。