北朝鮮キム総書記 ウラジオストク郊外出発 訪問日程終え帰国か

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記はロシア極東で行ったプーチン大統領との首脳会談や軍事関係の視察など一連の訪問日程を終えて帰国の途につきました。
来月にはロシアのラブロフ外相が北朝鮮を訪問する予定で、両国は軍事分野での協力の強化に意欲を示しています。

北朝鮮のキム総書記は、ロシア極東アムール州の宇宙基地で今月13日にロシアのプーチン大統領と4年ぶり、2回目となる首脳会談を行いました。

キム総書記は会談の後、極東の中心都市ウラジオストクなどを訪問してロシア軍の最新のミサイルや、核兵器も搭載できる戦略爆撃機、そして太平洋艦隊の艦艇などを視察し、日本時間の17日夕方、専用列車でウラジオストクを離れ、帰国の途につきました。ロシア側はキム総書記の訪問日程は終了したとしています。

今回の首脳会談をきっかけに両国は軍事分野で協力の強化に意欲を示していて、来月にはロシアのラブロフ外相が北朝鮮を訪問し、外相会談が行われる方向で調整が進められています。

ラブロフ外相はロシアメディアのインタビューに対し「国連の制裁はあるが、ロシアは北朝鮮との関係を発展させる」と述べました。

一方、18日には中国の王毅外相が首都モスクワを訪れ、ラブロフ外相との会談が行われる予定で、来月にも行われるプーチン大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談に向けた調整が進められるとみられます。

プーチン大統領はキム総書記との首脳会談の直後には、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領をロシア南部ソチに招いていて、こうした友好国と連携を深めることでウクライナ情勢を巡って対立を深める欧米に対抗する動きを強めています。

ロシア側 軍事協力進める可能性を示唆

ロシア極東沿海地方のコジェミャコ知事は17日午後にSNSで、北朝鮮のキム総書記がウラジオストクにある極東連邦大学の敷地内に設けられた展示館で軍用品を視察した様子を映像とともに伝えました。

映像では、キム総書記は赤外線のカメラなどから見つかりにくいよう加工されているという迷彩柄の戦闘服を前に説明を受け、手で触れて素材も確認しました。

また、キム総書記は小型のため狭い場所でも離着陸がしやすいという無人機のサンプルや、機関銃が自動で発射する映像なども見てまわりました。

これに対してコジェミャコ知事は「われわれは供給する準備ができている」と述べ、北朝鮮との軍事協力を具体的に進める可能性を示唆しました。

キム総書記 帰国の途についたか

ロシアの国営通信社は日本時間の午後4時半ごろ、キム総書記が乗った専用車両がウラジオストク郊外の駅を出発したと伝えました。

AFP通信が17日午後配信した映像では、キム総書記が音楽が演奏されるなか、チェ・ソニ外相らとともに緑色の専用列車に乗る様子が映っています。また、キム総書記は列車に乗り込む直前にロシア側の関係者のほうを向いて手を振っていました。

ロシアの鉄道関係者はNHKの取材に対し、専用列車は北朝鮮との国境沿いのハサンの駅に向かっていると明らかにし、NHKの取材班も専用列車が北朝鮮との国境方面に向かっている様子を確認しました。

キム総書記は今月13日にプーチン大統領との首脳会談を行った後も極東地域に滞在して各地で視察を行っていて、一連の訪問日程を終えて帰国の途についたとみられます。