【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ 南部クリミアへの作戦に力を注ぐ

アメリカのCNNテレビは15日、ウクライナはロシアが一方的に併合し、ロシア海軍が戦略的な拠点にしている南部クリミアへの作戦に、ここ数週間、力を注いでいるとしています。

そのうえで、戦略に詳しいウクライナの情報筋の話として、今回の攻撃はクリミア半島を孤立させ、ロシア軍がウクライナ本土で軍事侵攻を続けることを困難にさせるために行ったもので、反転攻勢を進める上で不可欠だったと伝えています。

また、アメリカのニューヨーク・タイムズは13日、今回の攻撃は軍事侵攻が始まって以降、ウクライナ軍が軍港都市セバストポリで行ったものとしては最大で、ロシアの占領地域への攻撃能力を高めていることを浮き彫りにしたとしています。

“損失したロシア海軍の艦船は16隻”

ウクライナの戦地に投入された兵器の状況などを分析しているサイト「Oryx(オリックス)」によりますと、去年2月にウクライナ侵攻が開始されてから9月14日までに損失したロシア海軍の艦船は、今回、攻撃を受けた2隻を含めて16隻に上ったということです。

このうち破壊されたのは、いずれも今回、攻撃を受けた潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」や揚陸艦「ミンスク」、それに去年4月沈没した黒海艦隊の旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」を含めてあわせて11隻。損傷が加えられたのは、8月に攻撃を受けた揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」など5隻だということです。

ゼレンスキー大統領 領土奪還の成果強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが一方的に併合した南部クリミアで防空システムを破壊したほか、東部の激戦地に近い集落を奪還したとして「重要な成果だ」とアピールしました。

反転攻勢の遅れも指摘される中、来週の国連総会への出席などを前に着実に領土の奪還を進めていると強調した形です。

ウクライナ軍 クリミアへ攻撃強める

ウクライナ軍はロシア海軍の黒海艦隊が拠点とする軍港都市に巡航ミサイルなどで攻撃を行い、揚陸艦と潜水艦に損傷を与えたのに続いて、14日、地対空ミサイルシステムを攻撃したと発表するなど、ロシアが一方的に併合したクリミアへの攻撃を強めています。

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアでは、ウクライナ軍が今月13日、ロシア海軍の黒海艦隊が拠点とする軍港都市セバストポリにイギリスから供与された巡航ミサイルなどで攻撃を行い、揚陸艦と潜水艦に損傷を与えました。

これについてイギリス国防省が15日に発表した分析によりますと、損傷した潜水艦はウクライナを攻撃し、黒海などにロシアの力を誇示する上で大きな役割を果たしていて、ロシア海軍に与えた打撃は大きいという見方を示しました。

米高官 “来週 バイデン大統領がゼレンスキー大統領と会談”

ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は15日、記者会見し、来週、国連総会に出席するためニューヨークを訪れる見通しのウクライナのゼレンスキー大統領をバイデン大統領が21日にホワイトハウスに招き、会談すると発表しました。

そして、首脳会談について、「バイデン大統領はウクライナへの支援で世界を主導し続けるという決意を再確認する」と述べ、来週中にウクライナへの新たな軍事支援を発表する見通しだと明らかにしました。

また、サリバン補佐官は、今月13日に行われたロシアのプーチン大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記との首脳会談について、「キム総書記のロシア訪問の前後も、北朝鮮からロシアへの武器の供与について、協議が進んでいるとみている」と述べ、警戒感を示しました。

EU ウクライナ産農産物の禁輸認めない決定

EUはロシアの軍事侵攻によってウクライナが黒海の港から輸出できなくなった農産物を陸路で域内に受け入れ、アフリカなどに輸出する支援を行ってきましたが、ポーランドやハンガリーなど5つの加盟国が安価な農産物の流入によって自国の農業が打撃を受けていると主張してきたため、これらの国については輸入の禁止を認めてきました。

この措置についてEUの執行機関、ヨーロッパ委員会は15日、ウクライナ側が輸出の管理を強化することなどを条件に、16日以降は各国による輸入の禁止を認めないと発表しました。

EUの決定に対し、ポーランドのモラウィエツキ首相は15日に開かれた与党の集会で強く反発し、輸入の禁止を続ける方針を示したほか、ハンガリー政府も独自に輸入の禁止を続けると発表しました。

EUはウクライナへの支援を可能なかぎり続けるとしていますが、軍事侵攻が長期化する中、加盟国の間で立場の違いも表面化し、一致した対応をとることが難しくなってきています。

ウクライナの2つの世界遺産 「危機遺産」に

ユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産委員会は15日、各地の世界遺産の保全状況の審査などを行いました。

この中で、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナの世界遺産のうち、首都キーウの「聖ソフィア大聖堂と関連する修道院群、およびキーウ・ペチェルシク大修道院」と西部リビウの歴史地区について、緊急に保存や修復などが求められる「危機遺産」に登録するかどうか審査が行われました。

その結果、これらの世界遺産がロシア軍による攻撃で破壊される脅威に直面し、「保護を保証する条件が満たされていない」として、危機遺産に登録されることが決まりました。

ユネスコ関係者によりますと、危機遺産への登録は遺産がある国の保全管理に問題があることが根拠となりますが、今回は現在のウクライナの特別な事情が考慮されたということです。