神宮外苑 再開発「樹木の破壊 受け入れられず」イコモスが会見

東京 新宿区などにまたがる明治神宮外苑の再開発に対し、中止を求める警告を出したユネスコの諮問機関の幹部が都内で開かれた会見で「樹木が破壊されるのは受け入れられない」などと指摘しました。

東京 新宿区などにまたがる神宮外苑の再開発をめぐっては、事業者が9月以降、高さ3メートル以上の樹木の伐採を始める予定で、これを前に先週、ユネスコの諮問機関・イコモスが「世界の公園の歴史においても例のない文化的資産」だとして再開発の中止を求める警告の文書を、都や事業者などに送りました。

これについて15日、イコモスの国内委員会が都内の日本記者クラブで会見を開きました。

この中で、オンラインで参加したイコモス「文化的景観委員会」のエリザベス・ブラベック会長は「成熟した樹木が破壊されるのは受け入れられない。今や全世界は気候変動を意識して都市の開かれた空間をいかに維持していくか、その重要性を認識しているからだ」と述べました。

そのうえで「東京のような世界の主要都市では、公園は大きく不足していて、その公園で再開発を行うことは聞いたことがない」と話していました。

イコモスは警告の文書についての回答を10月10日までに求めているということです。

小池都知事「樹木保全の見直し案いまだ示されず」

新宿区などにまたがる明治神宮外苑の再開発について、都は、9月12日、樹木の伐採を始める前に、保全に関する具体的な見直し案を示すよう事業者側に求めました。

これについて小池知事は15日の記者会見で「事業者からは、ことし1月の環境影響評価書で『樹木の保全の検討結果を出す』という話だったが、いまだに示されていない。一方で、樹木の伐採の許可手続きが進んでいるため要請を行った」と説明しました。

そのうえで「すでに事業者に伝えており、事業者からは『1本1本の樹木は大切に扱い、極力、保存・移植する方針で検討』というような報告を所管の局から聞いている。具体的な見直し案を、速やかに検討し、示してほしい」と述べました。

一方、ユネスコの諮問機関イコモスが再開発の中止を求める警告の文書を都や事業者などに送ったことに関連して、小池知事は「かなり一方的な情報しか入っていないのではないか。しっかりと事業者の方でも説明をより丹念にすべきだと改めて思った」と述べました。