EU 中国製電気自動車を調査へ 市場をゆがめるもので容認できず

EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は中国製のEV=電気自動車について、国からの補助金で価格を抑え、市場での競争をゆがめているという認識を示し、調査を行う考えを明らかにしました。

ヨーロッパでは自動車の業界団体が先月、声明を発表し、中国製のEVが急速に市場に入ってきているとしたうえで、「中国の自動車産業は公的な資金と政府の意向に支えられ、ヨーロッパにとって挑戦となっている」と危機感を示して、競争力を高めるための対応をEUに求めました。

こうした中、EUのフォンデアライエン委員長は13日、ヨーロッパ議会で演説し、中国製のEVについて、「国からの巨額の補助金で価格が人為的に低く抑えられている。われわれの市場をゆがめるもので容認することはできない」と述べ、調査を行う考えを明らかにしました。

EUのルールでは、調査の結果、外国からの補助金を受けた輸入品によってEUの産業が不公正な競争にさらされ、損害を受けたと認定されれば、制裁として関税を上乗せするなどの措置をとることができます。

フォンデアライエン委員長は10年前にEUが制裁関税を暫定的に課した中国製の太陽光パネルに言及したことから、こうした措置を視野に入れているとみられます。

一方、フォンデアライエン委員長は年内に中国と首脳会談を行うとして、中国側との対話を重視する姿勢も強調しました。

中国商務省報道官「あからさまな保護主義的行動」

EU=ヨーロッパ連合が中国製のEV=電気自動車は、国からの補助金で価格を抑え、市場での競争をゆがめているとして、調査を行う考えを明らかにしたことについて、中国の商務省の何亜東報道官は14日の記者会見で、「ヨーロッパが実施しようとしている調査は、公正な競争という名の自国の産業保護であり、あからさまな保護主義的な行動だ」と述べ、批判しました。

その上で、「EUを含む世界の自動車産業のサプライチェーンを深刻に混乱させ、ゆがめ、中国とヨーロッパの経済・貿易関係に悪影響を与えるだろう」と述べました。

そして、「中国は、ヨーロッパの保護主義的傾向と今後の行動に細心の注意を払い、中国企業の合法的な権益を断固として守る」と述べました。