ジャニーズ事務所 被害補償と再発防止策を発表 出演料の対応も

ジャニー喜多川氏の性加害の問題でジャニーズ事務所は13日、被害者の救済について、元裁判官の弁護士3人による委員会を設置し、補償金額の判断について一任するとした上で、被害の時期などを理由に補償を拒むことはないなどとする被害補償や再発防止策を発表しました。
また、今後1年間、出演料はすべてタレントに支払い、事務所として報酬は受け取らないとしています。

被害補償と再発防止策をホームページで発表

4年前に死去したジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏の性加害の問題をめぐり、事務所は13日、被害補償と再発防止策をホームページで発表しました。

このうち、被害補償については、いずれも元裁判官の3人の弁護士による「被害者救済委員会」を設置し、被害者からの申告内容の検討と補償金額の判断を一任するとしています。

また、事務所として、被害を申告した人の所属や被害の時期を理由に補償を拒むことはないとしています。

補償の対象はタレントや研修生として事務所に所属したことがある人、または現在所属している人としたうえで、このほかに被害の申告がある場合には個別に対応を検討するとしています。

今後、ウェブフォームを利用した補償の受け付け窓口を設置し、URLは後日、公表するということです。

このほか、再発防止策として、10月2日の新体制公表に伴ってCCO=チーフコンプライアンスオフィサーを置き、人権に対する基本方針などを策定、実施することや、今ある内部通報制度などの整備や拡充、それに社員やタレントに対して人権尊重や性加害、ハラスメントなどに関する研修を行い、コンプライアンス意識の強化を計画的に進めることを挙げたほか、ガバナンスの強化やメディアなどとの対話も進めていくとしました。

さらに今後1年間、事務所は芸能プロダクションとしての報酬は受け取らず、タレントが広告や番組に出演した際の出演料はすべて本人に支払うとしています。

ジャニーズ事務所は「被害者の皆様へのお詫びと被害救済、そして皆様からの信頼回復のためには、長い道のりが必要であることは肝に銘じております。一丸となって弊社の再出発に取り組んで参ります」とコメントしています。

【発表された補償と再発防止策の詳細】

ジャニーズ事務所が13日、ホームページで公表した被害者への補償と再発防止策は次の通りです。

被害救済について

被害者の救済については、金銭的な賠償を実施するために、「被害者救済委員会」を設置したと明らかにしました。

委員は元裁判官の弁護士3人で、事務所からは独立して運営されるということです。

委員会では被害者から直接話を聞くなどして補償金額を判断するということで、被害者に公平かつ適正な金銭補償を実施するため、判断は委員会に一任されるということです。

また、事務所では委員会が査定した補償金額について、所属時期や被害の時期を理由に拒むことはないとしました。

対象となるのは過去にタレントや研修生(ジャニーズJr.など)として所属していた人、または今も所属している人でジャニー喜多川氏からの性加害を受けた被害者としていて、事務所では、このほかにも被害を受けた人がいる場合は個別に対応を検討するとしています。

補償に際してはウェブフォームを利用した補償受付窓口を設置するということで、プライバシーに厳重に配慮した上で申し込みを受け付けるということです。

受付窓口のURLについては後日、公表するとしています。

再発防止策について

また、再発防止策についても合わせて公表しました。

それによりますと、東山紀之新社長のもと再発防止特別チームの提言を速やかかつ確実に実施するとしています。

具体的には、10月2日の新体制公表に伴ってCCO=チーフコンプライアンスオフィサーを置き、人権に対する基本方針などを策定、実施することや今ある内部通報制度などの整備や拡充、それに社員やタレントに対して人権尊重や性加害、ハラスメントなどに関する研修を行い、コンプライアンス意識の強化を計画的に進めることを挙げたほか、ガバナンスの強化やメディアなどとの対話も進めていくとしました。

“1年間は事務所の報酬受け取らず”

また、事務所では、9月中にはさらに具体的な再発防止策を公表するとしました。

そして、この問題は加害者であるジャニー喜多川氏と事務所の体制が原因だとした上で、失った信頼を回復できるように全力を注ぐととともに、今後1年間は広告出演や番組出演などによる出演料はすべてタレント本人に支払い、芸能プロダクションとして報酬は受け取らないとしました。

「性加害問題当事者の会」の弁護士は

ビジネスと人権が専門で、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の相談を受けている蔵元左近弁護士は、「当事者の会では被害者の救済と補償に関しては当事者を含めた委員会の設置を求めていたので、3人の弁護士だけで委員会を設置するというのは、ビジネスと人権でいう利害関係者と対話しながら対策を進めるという点で弱いと思う。同じく求めていた事実の究明についても記述がない」と指摘していました。

一方、今後1年間、事務所は芸能プロダクションとしての報酬は受け取らず、タレントが広告や番組に出演した際の出演料はすべて本人に支払うとしたことについては、「所属しているタレントに罪はないので、その人たちへ金銭的な不利益が生じないような工夫としては、いいアイデアだと思う。ジャニーズ事務所の今の状況からすると、スポンサー企業がどんどん離れていってしまう流れなので、それを食い止めるために考えたのではないか」と話していました。