大相撲 引退の徳勝龍が会見「一生懸命やったので悔いはない」

3年前の大相撲初場所で、幕内で最も下位の番付、幕尻の力士として20年ぶりに優勝し、12日に引退した徳勝龍が会見し、「一生懸命やったので悔いはない」と心境を話しました。

37歳の徳勝龍は、前頭17枚目で臨んだ3年前、令和2年の初場所で初優勝しました。

「幕尻」の力士の優勝は20年ぶり、奈良県出身の力士としては98年ぶりの快挙でした。

徳勝龍は12日に現役を引退して年寄名跡の千田川を襲名し、13日、東京 両国の国技館で会見しました。

徳勝龍は「肩の力がぽっと抜けた。すべての取組を一生懸命やったので悔いはない」と、現在の心境を晴れやかな表情で話しました。

引退の理由については、「幕下に番付を下げた時から引退の2文字が頭にあった。春場所は関取で出たが、また落ちて、もう一回上がる気持ちにあまりなれなかった」と説明しました。

思い出に残る取組には、優勝した3年前の初場所の14日目、1敗でトップに並んでいた正代に勝った一番を挙げ、「いつもどおり変なことをせずに思い切っていったらいいと思ってやった。単独先頭になり、家に帰ったら緊張した」と振り返りました。

そして、会見に同席した師匠の木瀬親方との思い出を聞かれたところで、涙があふれ、「30歳を過ぎてから『まだ老け込むなよ。まだまだやれる』と言ってもらい、励みになって頑張った」と話しました。

今後は木瀬部屋の部屋付き親方として指導にあたるということで、「やっぱり一人では強くなれない。相撲を取れることに感謝し、応援してくれる人がいることを伝えていきたい」と意気込みを示しました。

木瀬親方も涙をハンカチで拭きながら、「コツコツ努力すれば花が咲くということをやってきた男だ。若い衆も慕っているし、どういう力士を育てるか期待したい」と話していました。