記録的大雨 福島で床上浸水1000棟超 茨城と千葉で3人が死亡

8日からの記録的な大雨で、福島県のいわき市と南相馬市ではあわせて1000棟を超える住宅が水につかるなどの被害が相次いでいます。
また茨城県と千葉県ではあわせて3人が死亡したほか、床上まで水につかった家は少なくとも100棟以上に達しています。浸水被害の把握はまだ進んでおらず、さらに増える見通しです。

福島県 住宅被害は1200棟余り

福島県内では8日、線状降水帯が発生したほか、レーダーによる解析で猛烈な雨が降ったとみられ、いわき市では平年の9月1か月分を超える記録的な大雨となりました。

この影響で県内では住宅の浸水被害が相次ぎ、県によりますと、いわき市で1棟が全壊したほか、床上浸水がいわき市で少なくとも1050棟、南相馬市では8棟となるなど、住宅の被害はあわせて1200棟余りに上っています。

いわき市では住宅被害の件数がさらに増える見込みで、市は全容の把握を急いでいます。

一方、いわき市では、住民に対してボランティアが必要かどうかの希望調査を10日から始めるほか、南相馬市でもり災証明や災害廃棄物など緊急の相談対応を行っていて、いち早い生活再建に向けた支援の動きも出てきています。

いわき市の内田広之市長は「被災した人たちの生の声を聞いて、今後の対応にいかすとともに、衣食住を含めた生活支援をしっかりとやっていきたい」と話しています。

茨城県 千葉県では死者も

また茨城県では、北茨城市で20代とみられる若い男性が死亡し、県は増水した川に流されたとみています。

また、常陸太田市を流れる茂宮川で、30代の新聞配達をしていた会社員が遺体で見つかりました。

県は9日の段階で大雨による死者には含んでいませんが、警察は大雨との関連を調べています。

このほか、千葉県では大多喜町の警察施設で台風の被害状況を確認していた警察庁の49歳の技官が、屋上から転落し死亡しました。

床上浸水した住宅は、
▽千葉県では茂原市や長柄町など14の市町村であわせて95棟、
▽茨城県では高萩市や常陸太田市などであわせて25棟と、
2県で120棟が確認されています。

床下浸水は、
▽千葉県が20市町村であわせて118棟、
▽茨城県が8市町村であわせて47棟確認されています。

浸水被害はまだ把握が進んでおらず、さらに増える見通しだということです。

土砂災害も相次ぎ、茨城県で157件、千葉県で37件となっています。

自宅が浸水被害にあって避難所で過ごす人もいて、千葉県茂原市では4か所の避難所に、9日午後5時半の時点で24世帯39人が避難したということです。

千葉県 浸水被害の保育園では再開めど立たず

千葉県の大網白里市の保育園では、建物の床が大きな被害を受け、再開の見通しが立たない状況が続いています。

JR大網駅の近くにある大網白里市の「大竹保育園」は、かさ上げした土地の上に建てられているものの今回の大雨では保育園の入り口付近で1メートルほどの高さまで水が上がり、建物も床上30センチ以上まで浸水する被害を受けました。

4年前、2019年10月の大雨の際にも床上まで浸水する被害を受けましたが、今回は当時を上回る水位だったといいます。

雨が強くなったことから、8日の午前9時半には園児全員を自宅に帰し、子どもや職員への被害はなかったということですが、保育室やホールがある1階の床は浸水で最大20センチほどせり上がってしまい、掃除や片づけだけでは元の状態に戻すことができず、建物自体の修理が必要だということです。

いすやピアノなどのほか本棚も水につかり、読み聞かせで使っていた絵本がぬれて本棚から出すこともできなくなっていて、9日は職員が出勤し、片づけにあたっていました。

11日までは臨時休園することが決まっていますが、再開についてめどが立てられない状況だということです。

成島麻美子園長は、「被害の大きさにことばを失ってしまったというのが正直なところです。親御さんは皆さん仕事されているのでなるべく早く再開したいが厳しい状況にあるので、自治体と相談しながら方法を考えていきたい」と話していました。

《交通影響》

9日午後5時現在、JR東日本は大雨の影響で10日も千葉県内の在来線の一部で土砂の撤去作業などのため運転を見合わせます。

外房線は、誉田駅と安房鴨川駅の間で始発から運転を見合わせます。

いっぽう、9日は運転を見合わせていた内房線の館山と安房鴨川の間は10日の始発から運転を再開します。

久留里線も、木更津駅と久留里駅の間は始発から、久留里駅と上総亀山駅の間は午前7時から、運転を再開します。

このほか、小湊鐵道は土砂の流入の影響で里見駅と上総中野駅の間の上下線で終日運転を見合わせます。

土砂の撤去に時間がかかるため運転の見合わせは数日間続く可能性があるということです。

いすみ鉄道も、10日も全線で終日運転を見合わせることを決めていて、線路の下の土が流出した区間は運転の再開まで1週間以上かかる可能性があるということです。