京アニ事件 被告弁護士は無罪主張 責任能力が最大の争点に

「京都アニメーション」のスタジオが放火され、社員36人が死亡した放火殺人事件の裁判が5日始まり、青葉真司被告の弁護士は責任能力はなかったとして、無罪を主張しました。

一方、検察は「アイデアを盗まれたと一方的に思い込んだ筋違いの恨みによる復しゅうだった」として、完全責任能力があったと主張し、被告の責任能力の有無や程度が今後の最大の争点です。

青葉真司被告(45)は4年前の2019年7月、京都市伏見区の「京都アニメーション」の第1スタジオでガソリンをまいて火をつけ、社員36人を死亡させ、32人に重軽傷を負わせたとして殺人や放火などの罪に問われています。

5日、京都地方裁判所で開かれた裁判員裁判の初公判で、青葉被告は「こんなにたくさんの人が亡くなるとは思っておらずやりすぎだった」などと述べて、起訴された内容を認めました。

被告の弁護士は「この事件は人生をもてあそぶ闇の人物への対抗手段、反撃だった」と述べ被告には責任能力がなかったとして無罪か刑を軽くすべきだと求めました。

一方、検察は「被告は、みずからの小説を京アニに応募したが落選し、アイデアを盗まれたという妄想を募らせていった。事件の本質は筋違いの恨みによる復しゅうだった」として完全責任能力があったと主張しました。

今後の裁判では責任能力の有無や程度が最大の争点となり、被告人質問や精神鑑定を行った医師への証人尋問などが行われます。

そして検察と弁護側がそれぞれ意見を述べる論告と弁論が2段階で予定され、1回目で「責任能力の有無や程度」について、まず結論を出し、その上で「刑の重さ」について審理が進められます。

裁判は6日も開かれ、検察が証拠調べを続けることになっています。

今後の審理日程

5日に開かれた裁判の中で、裁判長から今後の審理の予定が説明されました。それによりますと、7日から被告本人への被告人質問が始まります。また、来月下旬には精神鑑定を行った医師に対する証人尋問が行われます。

11月27日から再び被告人質問を行ったあと、12月上旬にかけて検察官による遺族などの調書の読み上げや意見陳述が行われます。

そして12月7日に検察の論告と弁護側の弁論が行われて結審し、判決は来年1月25日に言い渡される予定です。