北海道胆振東部地震から5年を前に厚真町で追悼式

北海道胆振東部地震から9月6日で5年となるのを前に、37人が犠牲となった厚真町で追悼式が行われました。

平成30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震で震度7の揺れを観測した厚真町では、大規模な土砂崩れが起きるなど、災害関連死を含め、最も多い37人が亡くなりました。

地震から5年となるのを前に、2日、町内の総合福祉センターで追悼式が行われ、遺族89人を含むおよそ260人が参列しました。

この中で、宮坂尚市朗町長は「時を経ても、なお最愛のご家族やご友人を失われた方々の無念さは決して尽きることはありません。地震からの復旧・復興にまい進するとともに、『挑戦を諦めない町』として、未来創生と持続的発展に向けた歩みを町民一丸となって進めていきます」と述べました。

また、遺族を代表して、両親を亡くした畑島武夫さんがあいさつし、「大切な人やものを失って、ようやく、伝え、備えることの大切さを学びました。皆さんが愛し、大切にしてきたふるさと厚真を取り戻し、犠牲になられた皆様への思いを含め、災害の記憶と教訓、そして日頃の備えの大切さを風化させることなく、後生に継承することを約束します」と述べました。

会場には献花台が設置され、参列した人たちが花を手向けて犠牲者を悼みました。

町長 「5年の歳月 さまざまな努力できょうがある」

厚真町の宮坂尚市朗町長は追悼式のあと取材に応じ、「被災してすぐのころに比べて、参列された方の表情からは、皆さん穏やかに追悼式を見守っているように感じた。これも時間の経過により、自分たちが未来に向かって、また立ち上がろうという意思の表れではないかと感じる。遺族の皆さんの落ち着いた表情を見ると、5年という歳月の中でさまざまな努力を続けて、きょうがあるということを改めてかみしめていたのだと思う」と話していました。

遺族「あっという間の5年」

追悼式のあと、母を亡くした厚真町の中村忠雄さんは「あっという間の5年でした。当時の記憶はだんだん薄れかけてはいますが、やはり忘れることはできません。復興は進んでいると言われていますが、まだまだだと思います」と話していました。

また、祖母の兄を亡くした札幌市の佐藤七海さんは「亡くなった方への悲しみと、地震があったことを忘れたくないという気持ちで参加しました。5年は結構長いと思いますが、そんなにたった実感はありません。毎年、遊びに行っていた家もなくなってしまったので、すごく悲しいです」と話していました。