ロシア ノーべル平和賞のムラートフ氏を“外国の代理人”指定

ロシアのプーチン政権に批判的な報道姿勢を貫き、おととしノーベル平和賞を受賞した、ロシアの独立系新聞の編集長、ドミトリー・ムラートフ氏に対してロシア政府は9月1日、外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定しました。ウクライナへの軍事侵攻を続けるプーチン政権による言論統制が一層強まっています。

ロシア法務省は9月1日、独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の編集長、ムラートフ氏を含む9人と1つの団体を新たに「外国の代理人」に指定しました。

ムラートフ氏を指定した理由について法務省は「ロシアの外交や内政に否定的な見方を広めてきた」などとしています。

ロシアでは政権の意向に沿わない個人や団体が次々と「外国の代理人」に指定され、活動の大幅な制限や監視の強化など当局の圧力を受けています。

こうした中で、ムラートフ氏は政権に批判的な報道姿勢を貫き、おととし、「民主主義と恒久的な平和の前提となる表現の自由を守るために勇気を出して闘っている」などとして、ノーベル平和賞を受賞しました。

プーチン大統領はムラートフ氏の受賞が決まった直後のおととし10月、法律に違反したとみなされればノーベル賞の受賞に関係なく、「外国の代理人」に指定される可能性があるとして、ムラートフ氏をけん制していました。

ウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、プーチン政権は批判的なメディアの論調に神経をとがらせ、言論統制を一層強めています。