ベネチア映画祭開幕 濱口竜介監督作品 最優秀賞部門ノミネート

世界3大映画祭の1つ、イタリアのベネチア国際映画祭が開幕し、最優秀賞を競う部門には濱口竜介監督の作品「悪は存在しない」がノミネートされていて、賞の行方に関心が集まっています。

ベネチア国際映画祭は30日、イタリアのベネチア市内の会場に多くの映画関係者が集まり、開幕しました。

1932年に始まった映画祭はことしで80回目となり、大会の審査委員長の1人で、世界的なヒット作、「ラ・ラ・ランド」で知られるデイミアン・チャゼル監督は「この映画祭が映画の歴史を作ってきた」と開幕式で述べました。

今回、最優秀賞にあたる金獅子賞を競うコンペティション部門には、「ドライブ・マイ・カー」で数々の国際的な賞を受賞した濱口竜介監督の長編作品、「悪は存在しない」がノミネートされています。

また、革新的な作品を集める「オリゾンティ部門」には、終戦直後の日本を舞台に、戦争が残した傷痕を抱えて生きる人たちの苦しみを描いた塚本晋也監督の「ほかげ」がノミネートされています。

一方、地元のメディアなどは、ハリウッドでの俳優などの労働組合によるストライキが続いているため、一部のアメリカの俳優らが参加しない見込みだとして、今回の映画祭にも影響があると伝えています。

映画祭は9月9日夜、日本時間、10日未明に受賞作品を発表する予定で、賞の行方に関心が集まっています。

最優秀賞を競う部門にノミネート「悪は存在しない」とは

ベネチア国際映画祭の最優秀賞を競う部門にノミネートされた「悪は存在しない」は、主人公が暮らす自然豊かな村の近くにキャンプの宿泊施設を建設する計画が持ち上がり、それが村の水資源や生態系に影響をもたらすことが明らかになるという物語です。

2022年アメリカのアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」以来となる濱口竜介監督の長編作品で、脚本も濱口監督が担当しています。

主演は映画の助監督として活動し、これまで濱口監督の作品でスタッフを務めたこともある大美賀均さんで、その娘の役を西川玲さんが演じます。

いずれも映画に出演するのは今回の作品が初めてです。

革新的な作品「オリゾンティ部門」にノミネート 「ほかげ」とは

ベネチア国際映画祭で革新的な作品を集める「オリゾンティ部門」にノミネートされた「ほかげ」は、終戦直後の日本が舞台です。

空襲で焼けた居酒屋で生きるために売春をあっせんされている女性や闇市で盗みを働く戦争孤児、片腕が動かない謎の男など、それぞれの視点を通じて、戦争が残した傷痕を抱えて生きる人たちの苦しみを描いています。

主人公の女性の役を趣里さん、戦争孤児の少年を塚尾桜雅さん、謎の男を森山未來さんが演じています。

塚本晋也監督が脚本、撮影、編集も務めています。

塚本監督の作品がベネチア国際映画祭に出品されるのは、2018年にコンペティション部門にノミネートされた前作の「斬、」以来、5年ぶりです。

※塚尾桜雅さんの塚は点無し。
 塚本晋也監督の塚は点あり。